Vol.44「オセロー」 シェイクスピア

|
オセロー Othello(1604-05)[5幕]悲劇
ウィリアム・シェイクスピア William Shakespeare(1564-1616) 劇作家・詩人
……………………………………………………
作品について 1604年から1605年頃の作と考えられ、1622年に出版された。原典はイタリアの作家チンティオの「百物語」であるが、他の作同様ほとんどが作者の創作である。 4大悲劇中他の3作品は、主人公の悲劇が国家の命運にかかっているが、この悲劇の主人公である黒人将軍オセローの一身上の問題は、ヴェニスの運命を左右するものでなく、小規模な家庭悲劇となっている点に特色がある。登場人物中特に、悪の化身となって奸計でオセローをあやつる、冷静で鋭い知性の持主イアーゴーの行動が興味深い。 ……………………………………………………………… 梗概 元老議官ブラバンショーの娘で可憐貞潔なデズデモーナ(Desdemona)は、ヴェニスきっての名将であるムーア人オセローの黒い顔の奥にある高潔素朴な心を深く愛し、勇ましい武勲や興味深い冒険談に感動し、父の反対をおしきってオセローと結婚する。そしてたまたまトルコ艦隊がサイプラス島を攻撃してきた危機に備えて総督に任命されたオセローのあとを追って、彼女もサイプラス島へ向かう。 嵐のためにトルコ艦隊が全滅し、オセローとデズデモーナはサイプラス島で再会を喜び合う。ところが恐るべき奸計の持主であるオセローの旗手イアーゴー(Iago)は、オセローが昇進の競争相手であるキャシオ(Cassio)を副官に起用したため、オセローに敵意を抱く。そしてまずロダリーゴーというデズデモーナに思いを寄せている男をあやつって、キャシオにけんか騒ぎを起こさせ、オセローのキャシオに対する信用を失わせ、キャシオを副官の地位から失脚させる。次にイアーゴーは、失意のキャシオにデズデモーナを通じてオセローに復職を嘆願させるようにしむけ、キャシオとデズデモーナの仲があやしいとオセローが疑うようにさせ、周到な計画をめぐらして次第にオセローの嫉妬心をあおっていく。オセローは美男の副官の復職を嘆願する妻の熱心な態度を、イアーゴーの巧みな暗示によって悪い方に解釈し、最愛の妻に対する信頼は動揺する。 イアーゴーはオセローがデズデモーナに与えた結婚記念のハンカチを、妻のイミリアを通じて手に入れる。このハンカチはキャシオからキャシオの女ビアンカの手に渡る。オセローはイアーゴーの言う通り妻が大切なハンカチをなくしていることを知り、ビアンカがキャシオにそのハンカチを返す場面を目撃して、ついにイアーゴーの術中におちいり、妻の不貞を信じて殺そうと決意する。 イアーゴーはロダリーゴーをそそのかして街上でキャシオに傷を負わせ、ロダリーゴーを暗殺する。オセローが寝室でデズデモーナを絞め殺したあとで、イアーゴーの妻からイアーゴーの陰謀が暴露されたが、時すでに遅く、オセローはイアーゴーを傷つけたのち、悔恨のあまり自ら剣を胸にさして生命を絶つ。 [名句]O monstrous world! Take note, take note, O world./ To be direct and honest is not safe.——Iago., III. iii, 281-2. ああ、ひどい世のなかだ! 用心するんだな。世の中の人たちよ、率直にして忠実であることは身の危険を招くもとだ。
「オセロー」
著者: シェイクスピア


