Vol.16「人間の絆」 モーム

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下記の作品案内は、代表的作家の生涯・主要作品が要領よく解説され、さらに充実の翻訳文献を付した、現在入手しうる最良の文学案内として好評を得ている世界文学シリーズからの一冊、「イギリス文学案内」(朝日出版社)より引用しています。 |
人間の絆 Of Human Bondage(1915)
ウィリアム・サマセット・モームWilliam Somerset Maugham(1874-1965)小説家・劇作家劇作家・詩人
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解説
モームの最大傑作とみられている自伝的色彩の濃い長編小説で、1915年に出版された。身体的欠陥のために劣等感に悩まされていた作者自身の経験を、主人公のフィリップ・ケアリに託して克明に描き、人生の意味を探求して苦悶する青年の姿を浮き彫りにした傑作で、人生は無意味だという虚無的な人生観が、作品の基調となっている。
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梗概
幼いフィリップ・ケアリ(Philip Carey)は半年前に父を失い、1885年1月に母をも失って孤児となり、牧師のおじのもとにひきとられた。フィリップは生まれつき足首が曲がっていたので、これをひけ目に感じ、成長するにしたがって性格もゆがんでいった。おじは鈍感で頑固な牧師だったが、おばは実の子をもたなかったせいか、フィリップをいたわり、わが子のようにかわいがった。
9歳で学校に入ったフィリップは、友だちに曲がった足のことをからかわれ、怒って相手をなぐり倒したこともあり、つらい経験を重ねた。聖職につくと、オックスフォードへ進学するのを断念したフィリップは、おじと争って学校をやめ、18歳のときドイツのハイデルベルクへ留学し、完全に宗教やイギリス的島国根性からも脱却するが、結局イギリスへ帰国する。ロンドンで会計士になろうとしたが、やがてこれにも嫌気がさし、今度は画家を志望してパリへ行き、そこで会った中年の詩人クロンショー(Cronshaw)から、人生の意味が知りたいのなら、博物館へ行ってペルシアじゅうたんの複雑な模様を見ておくと、そのうちに自然に答えがでてくるだろうという、謎のような助言を受けた。
フィリップは2年ほど絵の勉強をしたが、自分にその才能がないことを知り、再び帰国すると今度は医者になる決心をして、かつて父親の学んだ聖ルカ医学校に入学したが、女給ミルドレットに恋をして医学の勉強を怠った。そして彼女に結婚を申し込んだが拒絶され、絶望したフィリップは別の女を愛してミルドレットを忘れようとした。そこへ他の男に捨てられた彼女が助けを求めてきたので、フィリップは彼女の世話をしたが、彼女はまた別の男とフィリップの金で遊ぶ。フィリップはこの不実な女を忘れるために猛勉強したが街の女となった彼女と再会すると、また彼女の子どもをひきとって世話をした。しかし、フィリップに昔の愛情がないことを知った彼女は、子どもを連れて去ってしまう。
フィリップは30歳のとき、おじの遺産を得て、ようやく医学の勉強を終え、開業医となる前に、船医となって世界一周をしてみようと思う。出発前に親友のソープを訪れたとき、その友人の娘サリー(Sally)と愛し合うようになる。そしてフィリップは、人間は生まれ、働き、結婚し、子どもをもち、そして死んでいくという単純な人生模様も、また完璧な図柄だということを知り、サリーと結婚して小さな漁村の開業医になる決心をかためる。
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「人間の絆」
著者:モーム


