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Vol.11 「ハムレット」 シェイクスピア

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下記の作品案内は、代表的作家の生涯・主要作品が要領よく解説され、さらに充実の翻訳文献を付した、現在入手しうる最良の文学案内として好評を得ている世界文学シリーズからの一冊、「イギリス文学案内」(朝日出版社)より引用しています。


ハムレット Hamlet160001) [5幕]悲劇

ウィリアム・シェイクスピア William Shakespeare15641616)劇作家・詩人

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作品について

1600年から1601年頃の作と考えられる。出版は1603年の悪い版(Bad Quarto)が最初であった。1604年の版(Second Quarto)が貴重とされるが、1623年のフォリオ版(First Folio)にも異同がある。原話は12世紀のデンマーク伝説で、16世紀にフランスの物語集に取り入れられ、これにもとづいて恐らくトマス・キッドが「原ハムレット」(der Ur-Hamlet)を書き、現存しないこの作品をシェイクスピアが改作して、世界最大の悲劇を書き上げたと推定されている。  

主人公のハムレットはコールリッジやゲーテのような浪漫的批評家によって瞑想的な青白い知性人とみる解釈がおこなわれていたが、20世紀以降の批評では行動的な面を重くみ、典型的なルネッサンスの人間像として再把握されている。英国はもとより世界各国で最大の上演回数を誇っている。

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梗概

 デンマークの王子ハムレットは、父王が急死したのち、母親のガートルードが叔父のクローディアスと再婚したので、いい知れぬ悲しみに沈んでいる。戴冠式をすませて王座についたクローディアスが王妃ガートルードの手をとって退席すると、ただひとり喪服姿でいるハムレットの口から、有名な「もろき者よ、なんじの名は女だ」(Frailty thy name is woman.)という句を含む第1独白が、怒りと悲しみをともなってどっとあふれるように流れ出る。そこへ親友のホレイショーが来て、父王の亡霊を見たと告げる。不吉な予感がして夜警に立ったハムレットの前に父王の亡霊が現われ、クローディアスに毒殺されて王位も王妃もうばわれたと語り、ハムレットに復讐を誓わせる。ハムレットは復讐を成就するため狂気を装い、確かな証拠をつかむために宮廷へ来た旅役者に父王毒殺に似た場面をクローディアスの前で演じさせ、叔父の反応を観察することにした。

一方、ハムレットが狂気のふりをして、愛するオフィーリアの前に現われたのを、重臣ポローニアスは、娘に対する恋ゆえの狂気だと王に進言する。王はそれを確かめるためにオフィーリアとハムレットを会わせ、ふたりの対話を立ち聞きすることにした。そこへハムレットが登場し、「生きるか、死ぬか、それが問題だ」という瞑想的な独白を語り、おとりに使われているオフィーリアに対して「尼寺へ行け」と何度もくりかえす。

やがて芝居が上演されると、クローディアスは毒殺の場面を見るにしのびず、席を立った。ハムレットは王妃の寝室で罪深い母を責め、幕のかげにかくれていたポローニアスを刺し殺した。身の危険を感じた王はハムレットを英国に送って殺そうと計ったが、ハムレットはそれを見抜いて帰国する。王は、気が狂って水死したオフィーリアの兄レアティーズに、毒をぬった剣を持たせてハムレットと戦わせる。ハムレットは傷つくが、計略を知って王を毒剣で刺して復讐をとげたのち、全身に毒がまわって死ぬ。

[名句]The readiness is all.——Hamlet., ii, 205

        覚悟(準備)がすべてだ。


Photo_2 「ハムレット」

著者:シェイクスピア

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2009/01/08