Vol.7 「チャタレイ夫人の恋人」 ロレンス

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下記の作品案内は、代表的作家の生涯・主要作品が要領よく解説され、さらに充実の翻訳文献を付した、現在入手しうる最良の文学案内として好評を得ている世界文学シリーズからの一冊、「イギリス文学案内」(朝日出版社)より引用しています。 |
チャタレイ夫人の恋人 Lady Chatterley’s Lover(1928) 長編小説
デイヴィッド・ハーバート・ロレンス David Herbert Lawrence(1885-1930)小説家・詩人
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解説
ロレンスの「性の哲学」を、最大限に展開してみせた20世紀最大の問題小説の一つである。1925年ころから執筆にかかり、何度も書き直した後、1828年にフィレンツェの出版社オリオーリから限定私家版として出版されて以来、その赤裸々な性描写のために物議をかもし、削除版ですら発禁本扱いにされ、完全無削除版が出版されたのは1960年だった。20世紀の知的偏重や機械文明や世界大戦の犠牲になった人間の悲劇が、詩的に昇華された瑞々しい性描写を伴って展開していく。貴族夫人と野生的な森番の不倫ドラマである。
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梗概
「現代は本質的に悲劇的な時代である。(Ours is essentially a tragic age.)しかし私たちは、いかなる災害がふりかかろうと、生きなければならない」。これが、戦争で性的不能者になった夫を持つコンスタンス・チャタレイの境遇であった。
1917年、23歳のコンスタンス(Constance)は、29歳のクリフォード・チャタレイと結婚したが、半年もたたないうちに、夫は戦場で負傷して帰国。下半身は麻痺したままだった。
1920年、クリフォード(Cliford)は貴族の亡父が残してくれた18世紀の古風なラグビイ邸に戻った。クリフォードは車椅子に頼る従男爵であり、小説を書くことに熱中し、よくパーティーを開いた。通称コニー(Cony)のコンスタンスは健康なからだをもてあましながらも、不具の夫を愛し、チャタレイ夫人として精力的に所帯を切り回していた。
そんなチャタレイ夫人の前に、招待客であるアイルランド人の劇作家マイクリスが現われた。夫と肉体関係のない生活を続けていたコニーは、30歳のマイクリスに身を任せた。
ある日コニーが、夫の車椅子を押して、広い庭園の先に広がる深い森の中へ入っていったとき、スパニエル犬を連れた新任の森番のメラーズ(Mellors)に出会った。夫はこの暗い陰のある孤独な森番をコニーに紹介した。コニーは結婚を迫るマイクリスよりも、野生的な元坑夫の森番の肉体的魅力に惹かれてしまう。精神生活に憎悪を感じたコニーは、何度も森番の小屋へ出かけたあげく、ついに森番と肉体関係を結んだ。不義の愛欲を重ねるコニーの気配に気付いたクリフォード卿は、「チャタレイ夫人の恋人」が誰だろうという疑問を抱く。やがて、コニーの不義の噂は夫クリフォード卿の耳に入り、森番メラーズは解雇されてしまう。
森番の子を身ごもったコニーのもとへ、農場の仕事に就いたメラーズから長い手紙が届く。「来年は一緒になれる。自分の一番良い点を本当に信じ、さらにそれ以上の力を信頼するほかに、未来のことは信じられない。僕には友人はいない。貴方だけだ。忍耐、つねに忍耐あるのみ」。その手紙は、クリフォード卿の離婚と二人の再会を望んで終わっている。
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