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2010年11月 4日 (木)

秋だからこそ食欲系英語:Appetizing English

秋になると、やはり食欲が増大するようで、柿などのフルーツから、さつまいも、かぼちゃ、きのこなどの山の幸・陸の幸、そして牡蠣や秋刀魚などの海の幸と、とにかく何を食べてもおいしい今日このごろ。というわけで、今回は「おいしさ」を表現する英語に注目しましょう。

まず、単刀直入に「おいしい」を表現する基本ワードはこの3つ:

good
delicious
tasty

<good> は、 実に便利な英語で、ありとあらゆることに使われますが、特に「おいしさ」に関してはごく日常的に用いられます。たとえば、同僚とランチに行って、とってもおいしい一品が出てきたとき

“Hmm, this pasta is so good!”
(「ん~、このパスタは本当においしいわ!」)

こう書くと普通な感じがしますが、発音と顔の表情に表現のコツがあります。まず、<hmm> と感嘆するときは、目を閉じて恍惚の表情を浮かべるか、もしくは目を見開いておいしさに感動すること。そして <so> は、その食べ物のおいしさのレベルに比例して伸ばします。

soooooooooooo

このように、 <so> を伸ばす表記を見かけることありませんか? 日本語でも、「超」を強調するときに「ちょ~~~~~~」と伸ばしますが、それと同じことです。

さらに、<good> の発音とリズムが大事です。 <gud> と短く発音するのは「よし」という雰囲気になるので、「おいしさ」をあらわすときは、 声をまろやかにして、<gooooood> と長めに発音します。食べたものがこってりとリッチな味の場合、低めの深い発音になりますし、 甘くてフルーティーなケーキなら、高めの声で“Good!”と言います。<good> はとても単純な単語なだけに、その「言い方」で変化を出すのです。食べ物のおいしさをあらわす形容詞はたくさんありますが、本当に 「おいしい」 と感じたときに、思わずネイティブの口をついて出てくるのは、やはり

“It's sooo good!”

です。まさに「おいしい!」、「うまい!」と同じですね。

辞書を引くとまっさきに 「おいしい」 の訳語として出てくるのが <delicious> です。もちろん現在も一般的に使われますが、少し硬さがあるというか、お行儀よく「おいしゅうございます。結構なお味でございます」と言っているような印象があります。

<tasty> は <delicious> に比べると、 より「味」に関して深みのある単語です。ブイヨンなどのうまみ成分が効いている味付けなどのときに、

This sauce is tasty.
(このソースにの味には深みがある(風味がある))

と言います。味の「濃さ」をあらわす日本語は豊富ですが、英語ですとかなり限られてしまいます。カタカナ英語としてもよく使われる <rich> は「濃さ」をあらわす英語表現の筆頭株です:

This soup has such a rich flavor.
(このスープは実に濃厚なリッチな風味・味です)

<rich> と同様に、「濃さ」をあらわすのには、<creamy> があります。これは日本でも使われますね。基本的に感覚は同じです。

より「風味」にこだわる場合は <savory> を使います:

Savory Belgian chocolate with great mixture of liqueur and spice
(リキュールとスパイスのすばらしい組み合わせの風味あるベルギーチョコ)

ほかには  <creamy> のように日本語でも定着している <juicy> もよく使われます:

Juicy fresh Wagyu steak
ジューシィで新鮮な和牛ステーキ)

ちなみに、  和牛は高級食材として海外でも定着してきているので <Wagyu> と表記されます。同じく、 「だし」 も最近は欧米でも広まりつつあるので  <dashi>  で通じます。 新鮮な食材を意味する <fresh(フレッシュ)> は 「おいしさ」 には必要不可欠の条件といってよいでしょう。

食感でアメリカ人が好むものに <crispy> があります。これは「カリっとした」とまったく同じです:

Creme brulee covered by crispy caramel is the most appetizing dessert.
カリッとしたキャラメルに覆われたクレームブリュレは何よりも食欲をそそるデザートです)

creme brulee はフランス語。creme 最初の e の上にアクサン・グラーヴ(`)、 brulee u の上にアクサン・シルコンフレクス(^)、 brulee の最初の e の上にアクサン・テギュ(´)がつきます。

英語では、「食べる前」に「おいしそうに見える」ことを評価する単語が多いです。日本人は「盛り付け」にこだわるので、見た目の美しさに言及することが多いですが、西洋では、まずお料理が自分の前に出されたときに、ひとこと「おいしそう」とコメントするのがエチケットとして好ましいとする向きがあります。これは、個人宅で催されるパーティーにおける社交文化が影響しているように思います。

たとえば、 <appetite(食欲)> をそそる <appetizing> のほかにも、<tempting(そそる)>、<mouthwatering(よだれが出そう)> は文字通り 「口の中に水分 = よだれが出る」 という直接的な表現ですし、「魅力的・そそられる」 である <appealing>、 食べ物がまるで 「誘っている」 かのようにおいしく見えるという意味の <inviting> などがあります。 アメリカ人のお宅に招かれて、手料理を出されたら、実際に口に入れる前に、ここにご紹介したような単語で

“Wao! It looks so appetizing/tempting/mouthwatering/appealing/inviting!”

と言っておくとよいでしょう。

「最高級」 のおいしさはを表現する場合の単語も豊富です :<exquisiteluscious(最高の、 卓越した技巧を尽くしたおいしさ)>、<supreme(最上級の)>、<delightful(とっても嬉しくなるほどおいしい)> などです。

ハリウッド映画を観ていると、 最近は <divine> が結構人気ですね。<divine> は「神の」という意味ですから、 おいしさが「神の領域」に達して、天に昇るような心持ちにさせるほどだということです:

Enjoy divine autumn dishes!
(秋の神様レベルの味覚を楽しんでください!)