「ウェイター」「アテンダント」に共通する「待つ」ことの意味
あなたは「待つ」ことは得意な方でしょうか? わたしは、もともとせっかちで、「待つ」のが大の苦手でした。でも最近は、なるべく穏やかに「待つ」心を持とうと努力しています。というのも、「待つ」ことはとても大事なことだからです。
英語で「待つ」は <wait> です。簡単な言葉で、中学英語で習うもの。この <wait>、レストランなどの「ウェイター (waiter)」と似ていると思ったことはありませんか?
「ウェイター」の仕事は、お客様のそばにたち、いつ、何を求められても対応できるように「待機」していることです。そして、求められたときに、「奉仕」する。この「ウェイター」の存在の仕方には、わたしは学ぶべきところが多いと思います。
たとえば職場で、何か悩みを抱えている同僚がいたとします。
■“Hey, do you need some help?”
(「ちょっと、君は何か助けを必要としているんじゃないか?」)
と声をかけた場合、すこし直截的(ちょくせつてき)すぎる感じがします。もし、その同僚が、自分が悩みを抱えていることを周囲に知られたくないとしたら、逆効果になりかねません。悩んでいる時、つらい立場にある時は得てして神経が敏感になり、いつもなら流せることが流せなくなってしまいます。では、こういうのはどうでしょう?
■“If you need someone, let me know. I'm always here for you.”
(「誰かが必要なときは言ってくれ。僕はいつも君のためにここにいるよ」)
あえて自分から相手の「痛み」を刺激するようなことはせずに、ただ、「誰か」=「他者」がその人のために「存在する」ことを教えてあげる。悩んでいるときは、自分だけで難問を抱え込んでしまい、世界は問題と自分だけで埋め尽くされるような状態におちいりがち。
周りの人は、その人の問題自体を解決することはできなくても、その人の「孤独」に風穴を開けてあげることはできます。それは実は、問題解決への重要な第一歩だったりします。上にあげたような「いたわり」は、まさに <waiter> のあり方と同じですね。おせっかいはしない。でもいつでもそこにいて、その人を助けてあげたいという奉仕の心を持っている。
一方、 <waiter> とも似ている <attendant(アテンダント) >。「キャビン・アテンダント」に代表される「アテンダント」は、飛行機にかぎらず、人の「付添い人・世話人・従者・随行人」を指します。
<attend> は、
■I have a meeting to attend.
(出席しないといけない会議がある)
というように「出席する」という意味で使われるのが一般的ですが、下記のように使用されることもあります。
■“He seems to be hurt. Let me attend him, I'm a nurse.”
(「彼はケガをしているようだ。わたしに手当て(診)させてください。私は看護師です」)
医者や看護師が、診察、治療したり、 手当てすることを <attend> と言います。また、単純に、何かに「注意する、気を向ける」ことも <attend> であらわします:
■The press was attending the Prime Minister's words.
(記者は総理大臣の言葉に耳を傾けていた)
何かに注意を向けて、気を使ってあげることが、「治療」と同じことばであるというのは、ステキだと思います。肩を落とした人、途方にくれている人の肩に、 そっと手をおくこと、 それだけで心の「手当て <attend> 」をしたことになるのですから。
もっとステキだと思うのは、<attend> も <wait> とおなじく「待つ」 ことと深い関係にあることです 。英語の <attend> は、フランス語の「待つ <attendre> 」からきています。そして、「そこにエネルギーを注ぎ、奉仕する」という意味を持つようになりました。重要なのは、ケアをしてあげる、自分の「気・想い・愛情」を誰かにそそぎ、あとは「待つ」ということ。
「待つ」ことは、誰かに尽くすこと……それも押し付けがましくではなく、その人の心に寄り添うようにして、 自分の気持ちに気づいてもらえるのを「待つ」、その人が自分で癒やされようと思い立つ契機を「待つ」ことなのです。
「果報は寝て待て」
と言います。<wait> と <attend> を使って表現してみましょう。
■Wait patiently and attend with love, then good news will come.
(辛抱強く待ち、愛の心を持って待てば、良い知らせが来るでしょう)
何かの返事を待っているとき、誰かの態度の変化を待っているときなど、自分自身に対しても、他人に対しても、おだやかなこころで、しずかに気持ちをそそぎながら、じっと「待つ」ことが、良い結果をもたらしてくれるのではないでしょうか。







