stress/ストレス:
「形状を失わせるほどの圧力」って怖いです
最近、鍼治療に行った際、いつも治療していただいている先生にこう言われました:
「七尾さん、お腹の奥の筋肉ががちがちに固まっていて鍼がはいりにくいのだけど、最近怒るのを我慢していませんでしたか?」
むむむ!たしかに、基本的には「ストレス・フリー」で平穏な日々を送っているし、そうありたいと心がけているのですが、どうしても「腹が立つ」場面はおとずれてしまうもの。私はそもそもなるべく「怒らない」ような人間でありたいと思っていて、怒ったとしても、その「怒り」をなるべく外に出さないようにしよう、と努力しています。ところがお恥ずかしいことに、その「ストレス」あるいは「我慢」がお腹にきていたようです。
どうも体調が悪かったのはそのせいか!と思い至りました。鍼の先生によると、日本語で「腹が立つ」とはよく言ったもので、「本当に『腹』がきゅっとこわばって、『腹が立つ』という感じになる」のだそうです。それが、我慢をすると、お腹にどんどん溜まり、私のようなカチコチのお腹になってしまうんですね。
<stress-free> というのは、よくある「~から解放されている」表現で、要するに「ストレスがない」ということです。欧米に行った日本人が <smoke-free> と書いてあって、<free =自由> だからと「タバコをすっていい場所だ」と勘違いする、というエピソードはよくありますが、これは正反対の意味で、「煙から解放された、煙には無縁の場所」、つまり「禁煙」のことです。
現代社会で都市生活を送っていると、どんなに気を遣ってもやはり <stress-free> というわけにはなかなかいきません。昨年の10月7日付のニューヨーク・タイムズ電子版にこんなタイトルの記事がありました:
■“When Stress Takes a Toll on Your Teeth”
(「ストレスがあなたの歯に大きなダメージをあたえる時」)
※take a toll on/of ~ ……… ~に大きな被害(打撃)を与える
URL:http://nyti.ms/PBIJy
記事の内容は、リーマンショックの余波がつづき、自分の生活費に不安を抱く人が増える中、経済状況への不安感から「歯ぎしり」=<teeth grinding>、<bruxism> をする人が増加しているというもの。
記事の中で、歯科医のブテンスキーさんが、以下のように語っています:
■“I'm seeing a lot more people that are anxious, stressed out and very concerned about their financial futures...”
(「将来の自分の財政状況を心配し、神経をすり減らし、気にかける人を多く診るようになりました」)
ここで出てきた <be stressed out> は「神経をすり減らしている」という意味ですが、とにかくストレスが多すぎてぴりぴりしてしまい、参っている状況。 <stress> をオックスフォード現代英英辞典で引くと、<mental pressure(精神的プレッシャー、圧力)> と、<physical pressure(物理的プレッシャー、圧力)> に大別されています。いずれにせよ、<stress> が 「特定の場所に負荷をかける」ものだということが分かります。特に、物理的圧力ではこのように説明されています:
■“pressure put on something that can damage it or make it lose its shape.”
(「ある物体にかけられた圧力で、その物体を損傷するか、形状を失わせてしまうもの」)
これを抽象的に、人間の「精神」にあてはめたのが、現代人を悩ませる「ストレス」な訳ですから、怖いですね……。
ニューヨーク・タイムズが紹介していた「ストレス」で歯ぎしりをしてしまう原理は、ストレスを抱えたまま就寝すると、体と心が鎮静することなく相変わらず戦闘態勢にありつづけるので、自分を守ろうとするホルモンを分泌し、それが歯の周囲の筋肉にはたらきかけ、無意識に歯ぎしりをしてしまうのだそうです。
自分の歯ぎしりがひどくなっていることに気がつけない患者が、ある日突然、歯が折れてしまったり、顔面痛を覚えて通院し、はじめて歯ぎしりをしていることを医師に知らされるケースが多いそうです。
<stress> はそもそも 「あるものにダメージを与えるほどの圧力をかける」という意味ですが、心への <stress> が、まさに「歯」の形状を変化させるほどの <stress> を体に起こさせているというのです。
「歯ぎしり」はあなたの心が発している赤信号なのかもしれません。お腹のあたりをさわってみて、ちょっと硬いな~と思うところがあったり、あるいは「最近歯ぎしりがひどくなった」と家族に指摘された方は、要注意です!
■Watch out for stress!
(ストレスには気をつけて!)







