「輝き」-「艶(あで)」と「キラキラ」の English:
マリリン・モンローのglow
人生誰だって「輝いて」いたいもの。でもその「輝き」ってどんな輝きでしょう? 「輝き」の英語表現は豊富です。多くは、銀幕スターを形容するときによく目にします。ハリウッドスターは世界で一番「輝いて」いる人たちと言えますが、彼らの「輝き」とはどんなものなのでしょう。
たとえば、クリスマスのイルミネーションが街を彩り始めると、突如としてすべてが「輝いて」いるように見えてきます:
■Suddenly, the same old town is transformed into glistening, glowing, and shining city with the Christmas illuminations.
(クリスマス・イルミネーションによって、代わり映えのしないいつもの街が突如として、きらめき、強く熱せられたような光を放ち、輝く都市へと変貌を遂げるのです)
ここでは「光・輝き」に関わる英単語が3つ出てきました。それぞれの表現する「光・輝き」には微妙な違いがあります。今回は違いの分かりにくい <glisten> と <glow> に焦点を当てていきたいと思います。
glisten は「(濡れたもの・磨いたものなどが)光を反射してキラキラ輝く、きらめく」(ランダムハウス英和大辞典)様子。冬の雨に濡れた街に、百貨店のイルミネーションがキラキラと反射して輝いている、そんな感じです。
glow とは、炎を上げずに強く光る白っぽい光で、 人間の表情では 名詞としては「艶(つや)」を表します。動詞にすると「艶(つや)のある輝きを示す」、それは日本のファッション界で定着した感のある「艶(あで)」に限りなく近いものだと思います。
「艶(あで)やか」というのは「色気の『色』」にも通じる日本文化特有のものですが、しっとりとしているのに輝いている、という状態。glisten も、濡れたものが光る、という単語ですが、こちらは光の「つぶ」 がより粗く「キラキラ」 と輝いている状況。glow は、その面全体がぱっと明るく輝いている、というように、かすかなニュアンスの違いがあるので、やはり「艶(あで)」な 「輝き」 には glow のほうが訳語としてしっくりきます。
男も女も、ファッション誌を見ると「艶(あで)」を手に入れるために試行錯誤をしているようです。それは、「ギラギラ」とした下品な光り方ではなく、その人の肌がたっぷりと水分を含んでいるからこそ「健康的な」光を発散している……そんな「肌の質感」による輝きが、よりナチュラルで、リアルで、「素」に近いものが好まれる今の時代に呼応しているからではないでしょうか。
ドラッグストアで海外コスメのパッケージを手にすると、次のようなうたい文句に遭遇します:
■"This lipstick will give your lips an instant glow!"
(この口紅は、あなたの唇に瞬間的に輝く色艶を与えます!)
つまり、艶(つや)やかな唇や、健康的な肌が放つしっとりとした「輝き」こそが <glow> なのです。この <glow> という単語の凄いところは、表面的な「輝き」にとどまらず、感情の高鳴りや高揚感、幸福感や喜びまでも含むこと:
■The glow on Marilyn Monroe's cheeks had the glow of happiness.
(マリリン・モンローの頬の 艶(つや)のある輝き には幸福感があった)
glow という、しっとりしているのに高揚感さえ漂う強い光の「輝き」を持つ女優としては、マリリン・モンローの右に出る人はいないのではないでしょうか。イブ・アーノルドというマリリンの写真で有名な写真家が撮影した彼女を見ると、モノクロの写真の中で、マリリンだけが「輝いて」見えます。すべては50年代のニューヨークに置き去りにされたままのように古びて見えるのに、マリリンだけが今にも写真から抜け出してきそうなほど生き生きとして艶(つや)やかです。
彼女の額、 頬の上の部分や、 顎、 鼻梁(びりょう) には艶(つや)やかな <glow> があります。撮影者のアーノルド氏は、このマリリンの「輝き」について次のように語っています:
■"Her skin was translucent, white, luminous. Up close, around the periphery of her face there was a dusting of faint down. This light fuzz trapped light and caused an aureole to form, giving her a faint glow on film." (Eve Arnold, "Marilyn Monroe," Harry N. Abrams Inc.)
(「彼女の肌は透明で、白く、光を発散していた。近寄ってみると、顔の外縁にはかすかなうぶ毛がパラパラと生えていた。この軽いうぶ毛が光を取り込み、光の輪を形成し、フィルムの中の彼女にほのかな輝きを与えた」)
・translucent ……………半透明の
・luminous ……………… 発光する
・periphery ………………周囲
・a dusting of ……………たくさんの(粉状のものに対して使う)
・down …………………… うぶ毛
・fuzz …………………… うぶ毛
・aureole …………………光輪
気持ちが高揚し、頬が赤らみ、どこからか急いで到着したかのように息が少し上がっていて、うっすらとにじんだ汗が額や鼻に glow を与え、顔全体が光で縁取られている……たくさんの光を取り込んで外に向かって反射する、まさに <star(星)> だったマリリンの 「艶(つや)」。このマリリンの輝きの秘密はどこにあるのでしょう?
前述の写真家、 アーノルド氏は、 マリリンの秘密は、<truth(真実)> にあったと言っています。彼女はいつも「ありのまま」の自分で、体当たりで勝負していたのでしょう。マリリンは、メイクも脚本の読み込みも完璧にしようとし過ぎるあまり、いつも現場に遅刻しがちだったため、実際にゼーハー言いながら、額の汗を拭きながらスタジオに駆け込んでいたそうです。遅刻の常習に不満たらたらだった現場スタッフも、そんなマリリンが、あまりにセクシーで美しいので「さぁ、マリリンを撮ろう」と、スタジオの空気が一気に変わった、と言います。
「輝き」に関する英語と、世界で最も輝いた、いえ、今も輝き続ける女優「マリリン・モンロー」から学ぶ「輝き」の秘訣とは、「生身」の自分で、全身全霊で勝負し、嘘をつかない、ということではないでしょうか。そうすれば、自ずと貴方は光を発し輝き始めることでしょう。
■Let's shine on!
(輝き続けましょう!)







