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2009年11月18日 (水)

人生は <difficult(厄介)>:
Don't worry even if you are not happy
(幸せじゃなくたって心配する必要はないのさ)

CNNを観ていると、一日に一度は出てくると言っていい単語があります。それは<difficult>。たとえば、ホワイトハウスの報道官が国民医療保険制度導入への反発が強まっていることについて質問された時、このように答えたりします:

"That is a difficult question/problem."

これを素直に日本語に訳すと:

「それは難しい質問/問題です」

となります。日本でも政治家や政府高官などがよく「それは難しい問題ですね」と口にするのを耳にします。difficult は「困難」と訳されることも多いのですが、テレビのニュースや新聞も「困難」な事柄で埋め尽くされています。 リーマンショック以降特に、 私たちの 「現実(reality)」 は 「困難」 を極めています。 この difficult には、「厄介な・面倒な、人を手こずらせる、扱いにくい、不利な、苦しい、つらい」といった意味があります(ランダムハウス英和辞典)。また、政府関係者が次のような発言をした場合:

"Japanese government is going through difficult times especially when the tax revenue is decreasing under the economic crisis."
(「日本政府は財政的に困難な時期にあります、特に経済危機下で税収が減少している時なので」)

英文には「財政」 を指す <fiscal, budget, finance> といった単語は出てきませんでしたが、政府の税収などに関わる <difficult>は「財政難」を指すケースが多いです。

政府に限らず、 一般企業でも difficult は経営 ・ 財政的に「困難」 な状況にあることを表すのによく使われます。 トップが英語ネイティブスピーカーの、ある企業の業績発表の記者会見に取材に行った際、経営状況について私が質問すると、CEOが次のように答えました:

"Our company is experiencing difficult times, just like everyone else."
(「私たちの会社は(経営的に・財政的に)困難な時期を経験しています、他のどの企業とも同じなのです」)

「苦しい時、困難な時期」とは、企業や政府など大きな組織に限らず、私たちの人生にしばし訪れます。というよりむしろ、人生は困難の連続です。その困難を乗り越えた時にこそ、束の間の幸せが訪れるのかもしれません。そんな「人生の苦しみ」にも、 difficult はよく使われます。

2007年にアメリカで公開された映画で、 プライベートでも、 仕事でも、多くの <difficulties(困難)> を抱えた40代女性を描いたブラック・コメディ(風刺の利いたコメディのこと)、"The Savages" という作品があります。 脚本家・監督のタマラ・ジェンキンスは、自身の体験をベースに描いた、売れずにくすぶっている脚本家で、プライベートでも「不倫」という危機を迎えている主人公、ウェンディについてこのように語っています:

"She (Wendy) is justified in her difficultness, so you can identify with her." (US "ELLE", November 2009 issue)
(「彼女(主人公のウェンディ)が、厄介な女であるのはもっともだ、だからこそ(観客は)共感を抱くことができる」)

difficultness をここでは「厄介な(女)」と訳しました。 映画の中でウェンディは、ストレスからヒステリックに人に八つ当たりし、時としてかなり「ヤな女」。でも、不倫関係に悩み、自分のことをまったく顧みなかった父親が認知症になったことから介護に追われ、その他諸々の <trouble (トラブル)> を抱えるウェンディには、ときに <hysterical(ヒステリック)> に感情を爆発させてしまったとしても、「しょうがないよね……」と共感させるところがあるのでしょう。

これは何も女性に限ったことではなく、男性も、立場や年齢に関係なく 「あ~~っ!」 と思わず声をあげて叫びたいほど「大変な」時ってありますよね。 そんな 「大変」 に近い英語は <tough> と <hard> です:

Life is tough.
(人生は大変だ

This is perhaps the hardest time of my life.
(今は恐らく私の人生で一番大変な時期だと思う)

生きていると、人間関係のトラブルに悩まされたり、転職や就職で環境が変わって慣れなかったりと、次から次へと問題が起き、人生が複雑になっていくことがあります。そんな時は自分に対して、こんな風に言い聞かせるといいかもしれません:
Life tends to get complicated as you grow older.  There is no road-map to confront crisis for each individual.  Sometimes you are caught in a dilemma, and it may feel like it's a dead-end.  When you are in such a situation, the harder you try, the harder it gets.  But don't worry, you're not alone in this.  Each one of us is a troubled soul, and no one is perfect.
(年をとるごとに人生は複雑になりがちです。人それぞれの危機に対処するための道標(みちしるべ)は、ありません。ときには、ジレンマを抱え、袋小路に行き着いたように感じられるかもしれません。そんな時は、頑張れば頑張るほど(もがけばもがくほど)、さらに状況が厳しくなるものです。でも心配しないでください、この状況の中で、あなたは一人ではありません。誰だって、「迷える個人」だし、完璧な人などいないのです)

troubled soul …… 迷える個人
(慣用的表現で、つらい状況にある個人を指します)

ボビー・マクファーリンの "Don't Worry, Be Happy" というヒット・ソングがありますが、生きていれば、

"Don't Worry even if you are not happy"
(「幸せじゃなくっても心配しなくっていいのさ」)