KYな英語・第二弾
今回もひきつづき「KYな英語」について考えます。「空気読めない」=「KY」を「空気」を使って英語で表現するのは、できないことはないものの、なかなか難しいことがわかりました。ただ、いったん「空気」から離れると、「KY」に相当する英語はかなりたくさんあります。ここではアメリカ英語を中心に扱いますが、やはりアメリカでも「KY」な人にはみなさん敏感なようです。
「KY」には「敏感」とは正反対の「鈍い」という意味があります。その場の空気や周囲の雰囲気、他人の気持ちに「鈍感」である「KYな人」を表す英語表現は以下のようなものがあります:
・obtuse・鈍い、鈍感な:
■Our boss is obtuse to the feelings of his team members.
(うちの上司は自分の部下(自分のチームのメンバー)の気持ちに鈍感だよ)
・dim・鈍い・聡明でない:
■He's dim, especially when it comes to reading between the lines.
(彼は特に行間を読むことに関しては鈍いね )
これは「頭が鈍い」、ということになりますから、使う時は注意が必要です。また <read between the lines> は、ただ「行間を読む」にとどまらず、「暗に示唆されたメッセージを読み取る」という意味もあります:
■The manager didn't say it directly, but by reading between the lines, I understood that I was going to be laid off.
(部長は直接的な言い方はしなかったが、彼の本音を推し量ることによって(行間を読むことによって)、自分がクビになるのだということを理解した)
もう少し硬い表現としては 「感知・知覚する力に欠ける」 という <imperceptive> があります:
■That analyst is imperceptive of the new trend in the industries.
(あのアナリストは産業界の新しい流れに気が付いていない、流れを読めていない)
以上、「感覚の鈍さ」を意味する英語表現を中心にまとめてみました。どれも、ネガティブな単語です。 ただ、<imperceptive> は、「アナリスト」など細部への分析力が問われるような仕事をされている方にとっては致命的な評価になりますが、それ以外の表現は、たしかにネガティブではあるものの、「KY」ほどの破壊力は無いように思います。というのも、「KY」は、「空気が読めない」そのこと一つによって、人格を全否定する所があるからです。一方、英語の <obtuse, dim, can't read between the lines, imperceptive> は、個人の性格の一部分を評す言葉であるに過ぎないからです。
つまり、英語では「KY」な「人」を評す単語はたくさんあるものの、「KY」そのものに相当する表現は(いまのところ)ドンピシャリなものが見あたりません。それはやはり、アメリカと日本の文化とコミュニケーションのあり方の違いに起因するのではないでしょうか。
日本語と英語に通じた知人、約10名に聞いてみたところ、皆さん一様に「やはり日本のほうが『KYな人』に対する評価は厳しい」というご意見でした。だからこそ「KY」という表現が生まれた、と言えるのかもしれません。
今回協力してくれた方の中に、某大手弁護士事務所在籍のアメリカ人国際弁護士の方がいらっしゃいます。当初彼は、「KY」は英語から来ているのだろうと思っていたので、「Kuuki Yomenai」という日本語を省略したものだと知って大変驚いたそうです。日本文化・日本語の底力に深い感銘(?)を受けた彼は、背中に大きく「KY」とプリントされたシャツを購入するに到りました:
■"Occasionally, I wear it outside so that all the people around can laugh at how KY the gaijin is."
(「時々このシャツを着て出かけるよ。周りの人がみんなどれだけこのガイジンがKYかを笑えるようにね」)
■Do you think that's "KY"? I think it's hilarious.
(彼の行動は「KY」でしょうか? 私は"KU"(=Kanari Ukeru)だと思います)
「KYシャツ」着用は、「外国人」という立場を笑いに変えてコミュニケーションの潤滑油にしようという、アメリカ人らしいユーモアの飽くなき追求の姿勢、と言えるでしょう。やはりアメリカ社会では、いかに「フレンドリーかつ感じが良いか」がコミュニケーションの至上命題なので、social=社交(対人関係)の場における「KYな人」 を批判的にとらえる表現は結構あるのです。 こちらについては、「KYな英語、第三弾」にて取り上げたいと思います。
M2KY(まだまだKY)!








