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2008年12月17日 (水)

日本では「クリスマス・ツリー」でも所変われば…
ただの tree(木)?!

クリスマスを来週に控え、街中ではクリスマス・ツリーなどのイルミネーションがとってもキレイですね。この時期になると私はとってもワクワクします。

元々キリスト教国ではない日本ですっかり定着したクリスマスというイベント。むしろ本家本元の欧米よりもなじんでいるようにも思えます。というのも、アメリカやカナダでは「クリスマス」は実は何かと論争の種になることがあるのです。今回はクリスマスにまつわる英語について考えてみましょう。

まずは「クリスマス・リース」について。
私の友人が、アメリカ人宅で催されたクリスマスパーティーに招かれました。玄関の「リース」が美しかったので、以下のように賛美の言葉を奥様に伝えたそうです:

It's such a beautiful lease you have!

と言うと、夫人はちょっとけげんそうな顔をしてから

Oh! Our company provides us with housing, so it sure is a pretty good bargain.
(ああ! 「住まい」 に関してはうちの会社が世話をしてくれるんだけど、確かに大分お得だと思うわ)

と話がかみ合わなかったそうです。友人はカタカナ英語の「リース」が、 「賃貸」を意味する「リース=lease」と同じ表記と勘違いし、つい同じ発音で言ってしまったため、 クリスマスの「wreath = リース」を招かれた家の「賃貸」についてほめた、と受け止められてしまったのです。

クリスマスに家のドアなどに飾る草花で作られた輪っかは:

wreath

が正しい表記です。これを見れば、lease とは大分発音が違うことが一目瞭然ですね。 w は発音せず、「r」の音を際立たせながら発音します。街で「リース」を見かけたら:

Not lease, but WREATH.

と頭の中で練習してみるとすぐ覚えられるはずです。

さて、リースと同じくクリスマスになくてはならないクリスマス・ツリーですが、実はアメリカでは「Christmas Wars(クリスマス戦争)」と言われるほどの論争の対象となってきた歴史があります。もちろん、クリスマスの祝祭はキリスト教徒の宗教儀式なのでたとえばユダヤ教徒に関しては:

Jewish people do not celebrate Christmas because they do not believe Jesus Christ is a messiah. 
(ユダヤ教徒はイエス・キリストを救世主だと信じてはいないのでクリスマスを祝うことはありません)

ということになります。

アメリカやカナダなど、様々な宗派・信条(無宗教も含め)の人々が生活する国では、 学校などの公の建物での 「クリスマス・ツリー」は特定の宗教を政府が支持していると受け止められ、アメリカ合衆国では「政教分離(separation of church and state)」の原則に反していると最高裁(the Supreme Court)まで争われました。

一般的には「キリスト生誕」などの「キリストの教え」に具体的に言及するような置物や飾りが設置されていなければ、「木」を飾ることは許容範囲とされています。日本では「クリスマス・ツリー」と当たり前のように呼ばれるこの「木」も、アメリカでは

holiday tree

と呼ばれることが、 特に公の場所では多いようです。 かの有名なニューヨークのロックフェラーセンターのクリスマス・ツリーも、正式名称は

the tree at the Rockefeller Center

だそうです。Christmas season というと 「クリスマスの時期・季節」ですが、こちらも最近は holiday season と呼ばれることのほうが定着しています。というのも、キリスト教徒でない人もたくさんいるからです。

holiday は元々「神聖な」を意味する 「holy」 と 「day(日)」から成る言葉でした。 今では広く「休暇」を指しますが、 12月の holiday season というと、アメリカでは感謝祭 =Thanksgiving (11月の第4木曜日)からクリスマスにかけてのことになります。同時期にユダヤ教の儀式である「ハヌカ」も行われるので、ユダヤ教徒に対しては:

I wish you a merry Christmas.

ではなく:

A happy Hanukkah to you!

と言います。ただ、問題は相手の宗教が分からない場合です。そういう時は

I wish you a happy holiday.

と言えば大丈夫です。

ただ、ユダヤ教徒にも色々な考え方の人がいて、私の友人のユダヤ教徒の女性はよく次のように言っています:

Why not celebrate Christmas when it's another chance to receive presents?  You shouldn't waste such a great opportunity.
(プレゼントをもらえるもう一つのチャンスだっていうのにクリスマスを祝わない手はないわよ。そんな素晴らしい機会をムダにしてはいけないわ)

ひとそれぞれですね。クリスマスなどの宗教的・文化的な催しに関しては個人によって考え方が違いますから、ある程度親しくなるまでは、 一定の「政治的正しさ(political correctness ) 」を保つ配慮が大事です。

それにしても、日本でのクリスマスの定着ぶりを感じるにつけ、このように思います:

Christmas is a good occasion to convey a sense of gratitude for someone you feel like saying“thank you.”
(クリスマスというのはあなたが「ありがとう」と言いたいと思う人に対して感謝の念を伝えるよい機会だ)

「感謝」と「喜び」というクリスマスの「良さ」を純粋に楽しむことができる日本社会は、ある意味とても大らかだと言えるのかもしれません。

ところで今回の『Express Yourself』が年内最後の配信になります。筆者としてもとても楽しく、English を通して様々な事柄に考えをはせることができました。これもひとえに読者であるあなたのおかげです。また来年もよろしくお願い申しあげます。

最後に、あなたへ心からの「祝福の言葉 = greeting 」をお送りします:

Wish you a joyous holiday and party season!
(あなたの祝祭の日々が喜びにあふれるものであることをお祈りします)