「リファレンス」は「紹介」でしょ~かい?
日本でも海外でも、仕事をしていると「紹介」はとても重要です。たとえば、このメール・マガジン「Express Yourself」も、誰か信頼できる親しい人に「紹介」もしくは「おススメ(recommend)」してもらった場合と、たまたま立ち寄ったウェブサイトにリンクが張ってあったのとでは、前者のほうがずっとすんなりと読者になれるもの。
日本語の「紹介」には大きく分けて次の二つの意味があります:
1.【人と人との間に立って取り持ちをすること、 なかだちをすること、はしわたし、ひきあわせ】
2.【知られていない物事を広く教え知らせること】
(『精選版日本国語大辞典』)
「紹介」は色々な局面で使えるとても便利な言葉です。
和英辞書で「紹介」 と引くと通常は introduce が出てきますが、この introduce は次のような場面で使われます:
■I was introduced to the family of my fiance.
(僕はフィアンセの家族に紹介された)
■I was introduced to the new project team by the manager.
(私は上司によって新しいプロジェクトチームに紹介された)
このような「人と人の仲立ち」だけでなく、introduce には、「物事を知らせる」という意味もあります:
■When Darwin first introduced his theory of evolution, the world of science went up side down.
(ダーウィンが初めて進化論を紹介(提唱)したとき、科学の世界は上を下への大騒ぎになった)
■Let me proudly introduce you our company's new line of luxury cars!
(我が社の新しい高級車シリーズを自信を持ってご紹介させていただきましょう!)
上のように、「新しい商品」や「新しい学説」などを「広く知らしめる」 ときに用いることが多い introduce には、「初めて」「お披露目」 という意味が加わることを覚えておいてください。 「紹介」を英語で言うとき、 大抵は introduce で事足りますが、今回はまた別の使い勝手のいい英語表現を「ご紹介」しましょう。
それは
refer
です。
日本でも、学問などの世界では、本の引用文献リストのことをカタカナ語で 「リファレンス」 と言うことがあります。これは refer に 「参照する、参考にする」 意味があるからです。「reference(リファレンス)が充実している」論文とは、それだけたくさんの「先行研究」を「参照」した上で成り立っているということで、より信頼度が高いと評価されます。つまり、refer、reference には、「信頼に足る source(ソース・情報源)がある」 という意味があるのです。
「紹介」が「信頼」を高めるという意識が日本では伝統的に強いと言われています。なので、「お披露目」のニュアンスが付いてしまう introduce よりも、「信頼性」に軸をおいた refer のほうが日本文化特有の「紹介」に通じるものがあるのではないでしょうか。
refer は、特にビジネスの世界でよく用いられます。以下の会話をご覧下さい:
■May I ask who referred you to our department?
(こちらの部署にあなたを紹介したのは誰ですか?)
■My name is Jiro Matsumoto, I was referred to you by Sam Morgensen, an analyst at your firm with whom I met at the Harvard Business School.
(ハーヴァード・ビジネス・スクールで出会った、御社でアナリストをしているサム・モーゲンセンから紹介にあずかりました松本次郎と申します)
また、名詞形の reference もビジネスで活躍します。reference check は、新たに人を雇い入れるときなどに、その人の評判を調べることを指します。コンプライアンスに特に厳しい金融関係の会社ではよく行われることです:
■Can you provide reference on our new applicant for the position?
(新しい応募者に対しての評判を教えてもらえますか?)
※obtain a reference on(someone) (誰かの)評判調査をする
色々な例が出てきましたが、refer の辞書の意味を改めて確認してみましょう:
1.【<人・言葉が>人・物・事に言及する、触れる、…を引用する】
2.【<人が>本などを参照する、<人などに>(…を求めて)問い合わせる、照会する】
ちなみに、こちらの意味ですが
■I referred to the “GENIUS English-Japanese Dictionary.”
( 『ジーニアス英和辞典』を参照しました)
このように辞書を見ると、refer は同じ「しょうかい」でも「照会」が本来の意味です。refer も「人」の「紹介」に使われてきましたが、厳密に言えば「医者」や「弁護士」などの「専門家(あるいは組織など)」に限定されていました:
■I was referred to a larger hospital to be treated by a specialist.
(専門医の治療を受けられるように大きな病院を紹介された)
■My best friend referred me to a lawyer who specializes in divorce settlement.
(親友が離婚調停を専門にしている弁護士に紹介してくれた)
この refer の「紹介」用法が、 近年では「医師」などに限らず様々な「プロフェッショナル」な場面で使われるようになっています。
おそらく、refer の「硬さ」「専門的な響き」がビジネスなどの場で、よりあらたまった、プロフェッショナルな物言いをしたいときに便利だからではないでしょうか。
たとえば、新しい営業先のメールアドレスを知人・友人に「紹介」してもらったとき、 初めてメールを送る場合は、 次のように refer を使えます:
■Allow me to send an e-mail rather abruptly.
My close friend Michael Douglas referred me to you, and I received your contact information from him.
(突然メールをお送りする失礼をお詫びいたします。
私の親しい友人であるマイケル・ダグラスにより紹介にあずかりまして、あなたの連絡先を教えてもらいました)
refer、一見むずかしそうだけど、実は使い勝手のよい英語なのです。
■But when in trouble, please refer to this column!
(でも困ったときは、このコラムを参照してくださいね!)







