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2008年9月 3日 (水)

私を野球に連れてって (英語で)
~ Take me out to the ball game ~ 
カキーン! と鳴り響く英語力?!

日本人の中にはアメリカの大学に留学したわけでも、帰国子女であったわけでもないのに、素晴らしい英語を駆使される方がたくさんいらっしゃいます。

英字メディアで活躍されてきたある日本人ジャーナリストの方に、どうやって英語で「書ける」ようになったのか、その極意をうかがいました。

この方は、外資系通信社に入社して、右も左も分からない中、

Ya_2I copied hundreds of sports news day in, day out for a year.(一年間、毎日ひたすら、一日に何百本というスポーツニュースを書き写していた)

day in, day out なにかを長い間、毎日、ときに退屈になるほどに「ひたすら」やること

のだそうです。

英語は、フランス語やドイツ語のように、文法でがちがちに固まっていないぶん、

「慣用表現」idiomatic expression/usage

が豊富。

なので、上達への近道はひたすら他の人が書いた文章を読んで、より多くの expression を自分のモノにすることです:

Ya_2You need to learn as much English expressions as possible in order to express yourself in English.
     (英語で自分を表現するためには、なるべくたくさんの英語表現を学ぶ必要があります)

さて、先述のジャーナリストの方が「スポーツニュース」で英語表現の基礎をたたき込んだ、と聞いてなるほど! と思いました。

というのも、スポーツニュースで使われる英語には独特の慣用表現が多いのですが、政治・経済ニュースよりも想定される事態が限られているので、一定の<型>さえ押さえてしまえば、マスターしやすいのです。

それだけでなく、スポーツ、特に野球の表現は日常会話でも使い回しが利いて便利です。

たとえば:

Ya_2A foreign language is not something  you can master right off the bat.
(外国語なんてすぐにモノにできるようなものじゃないよ)

off the bat は、ボールが「バットから離れる瞬間」、まさに「すぐさま、たちどころ」を意味します。オフィスでは次のように使われます:

Ya_2My boss told me to come up with※1 a plan for a brand new product by next meeting, but a product is not something that comes right off the bat, I mean I have to start from scrap※2.
      (上司が次の会議までに新商品の企画を立案しろっていうんだ、でもそんなことたちどころにできるわけがないだろ、だってゼロから始めなきゃいけないんだから)

※1 come up with~ ~を提供する
※2 start from scrap ゼロから、はじめのはじめから
     (scrap は「かけら・くず」という意味。
「かけらのかけらから」→「はじめのはじめから、何もないに等しいところから」)

off the bat は、「すぐに」という意味から派生して、「いともたやすく、簡単に」というニュアンスが込められることもあります。

上の例文で言えば、「新商品の企画はそんな簡単にできるものじゃない」という意味も含まれています。

これとは反対に、「懸命・精力的に仕事に取り掛かる、努力する」というニュアンスがあるのが pitch in という表現です。

先ほどの「新商品の企画が大変だ」と嘆いている同僚に対しては、こんなコトバをかけてあげましょう:

Ya_2Then you need to start pitching in.
(だったら一生懸命に取り掛かるべきだろう)

pitch in はいろいろな意味・場面で使えます。

(アイデア)「提供・提出」の意味で使う場合:

Ya_2Why don't you pitch in some new product ideas?
(新商品のアイデアを出してみたらどうだ)

協力するという意味で使う場合:

Ya_2This project is too much for me to handle alone.
(このプロジェクトは大きすぎて僕一人では抱えきれないよ)

    Why don't you have your team members to pitch in and help?
     (だったらチームのメンバーに協力して助けてもらったらどうだい?)

野球で言えば、 pitch in は文字通りボールを「投げ込む・投げ入れる」ですから、

●「勢いのあるボール」のように、なにかに勢いよくとりかかる

●「ボールを投げ入れる」かのようにアイデアを提供する

●「ボールがまっさかさまに落ちる・飛び込む」ようにグループの中に飛び込む、みんなが<飛び込んで>同じ 動きをする、協力する

となります。

         ● _ 
 。_ _     /■〆  
        | ■_/`  
         ` /     
          │     
          ┘

off the bat にしても、 pitch in にしても、メジャーリーグ・ベースボールの試合のような「勢い」をよく表す表現です。もうひとつ勢いのある表現をご紹介しましょう。

外国の人に出会ったとき、気が引けてなかなか話しかけられないでいる人にはこんなコトバをかけることができます:

Ya_2Don't be afraid, just strike up a conversation and the rest will follow.
(怖がらずに、会話を始めさえすればあとはなんとかなるさ)

strike up は 「~を始める」 という意味ですが、 英語の strike は野球場(ballpark)に響く「カキーン!」という爽快な音が聞こえてきそうなほど「勢い」のある感じがしますが、これは「始める」という静的な日本語では物足りないような気がします。

むしろ「会話を<ぶち上げる>・<打ち上げる>」というくらいの「威勢のよさ」が strike up にはあります。

そういえば、サミット取材中に、英語圏の記者と話をすると、「あなたはアメリカ生活が長いんですか? だから英語ができるんですか?」と必ずと言っていいほど聞かれるので、そのたびにこう答えていました:

Ya_2Yes, but my English is getting rustier these days.
(ええ、でも最近は私の英語は錆(さび)付いてきているんです)

すると、あるアメリカ人記者にこう言われました:

Ya_2A nice pair of shoes needs some polishing everyday.
(いい靴は毎日少しは磨かないといけないからね)

それで最近はこまめに辞書を引いたり、気になる英語表現はノートに書き込むように心がけています。

英語を学ぶには、strike uppitch in にある「勢い」ももちろんのこと、毎日丹念に靴を磨き上げるような「努力」の両方を pitch in することが必要なのでしょう:

Ya_2Learning a foreign language has something in common with getting better at sports such as baseball.
    You won't learn how to throw a screwball
※1 or hit a homerun that will take you straight to the major league ball game※2 off the bat. 
    There's no called game.
    You must play with all your might at each bat
※3 inning by inning, and above all, practice after practice.
     (外国語を学ぶことは、野球のようなスポーツの上達と共通するところがあります。
    一朝一夕にしてメジャーリーグで勝負できるような変化球を投げたり、ホームランを
      打てるようになるわけではありません。
     コールドゲームもありません。
     一打席ごと、一回一回にすべてをかけて勝負し、何よりも練習に次ぐ練習が必要なのです) 

※1 screwball 変化球
take me out to the major league ballgame
        Take Me Out to the Ball Game =「私を野球に連れてって」という有名な映画がありますが…
これになぞって take you ...to the major league ballgame を 「メジャーリーグで勝負できるようになる」と しました。   
※3 「打席」は a turn at bat, at bat