Received Pronunciation「容認発音」スピーカー、
ブレア前首相に学ぶ「認められた英語」
明朗かつ知的な英語。
世界中の人がこんなふうに自分が話せたら、と思う英語とはまさにこの英語だ! と聞いていて思いました。
それは前イギリス首相、トニー・ブレア氏の英語です。
来週開催されるサミットに合わせて世界中のリーダーが日本に集結しつつありますが、首相のポストから退いてからも中東和平プロセスなどでアクティブに活動しているブレア氏も、自身が率いる団体が気候変動にまつわる緊急リポートをサミットに提出するのに合わ
せて来日しています。
東京で催されたブレア氏の会見に行ってきました。
RPという言葉を聞いたことありますか?
Received Pronunciation の略で、 イギリスではまさにブレア氏のような美しい英国式発音のことを指します。
女王陛下の英語、 ということで Queen's English と言われたりしますが、本国ではRPの方が一般的。それを「容認された・受容された」= received と呼ぶことが、いかにもイギリス人らしいですよね。
じゃあそれ以外の発音は not received、 受け入れてすらもらえないのか?! というツッコミを入れたくなるくらいですが… ただ、ブレア氏の英語を聞いていると、わかりやすく、クリア、かつ知的。Received Pronunciation ここにあり! という感じでした。
また、Received Standard English とも言われることがあります。これは「容認標準語」で、「英国のパブリックスクール、Oxford、Cambridge 両大学で」また「広く教養人の間で話される英語」です。そんな英語が話せたらあなたも一気に「イングリッシュ教養人」!
そんな、ある意味「夢のような英語」とも言えるReceived Pronunciation、Received English を早速、 ブレア前首相から学んでいきましょう。
まず、ブレア氏が連発していた essential という単語は、使いまわしがきくのに、 使っただけでなんとなく立派なことを言っているように思われるという優れもの。
形容詞としての意味は「絶対必要な・必須の」もしくは「本質的な・本来の・自然の」です。
今起きている温暖化をストップさせるために何が必要か、ということを話しているときに、ブレア氏は次のようなことを繰り返し強調していました:
We need an essential change in our political system in order to achieve our goals.
(目標を達成するためには政治システムの本質的な変化が必要です)
It is essential to unite the scientists and political leaders.
(政治指導者たちと科学者を結びつけることが必要不可欠です)
また、essential を「本質的要素」という意味の名詞として使うこともできます:
The essentials of healthy beauty are; eat well, sleep well, and exercise.
(健康的美の本質的要素はきちんと食べ、よく寝て、運動すること)
essential をつけると、そのあとに来るものが「とにかく重要事項なんだな」ということをわかりやすく伝えられます。
extremely important =「とてつもなく重要」という表現を使うよりも、 単に essential と言ったほうがずっとこなれた感じがします。ぜひ使ってみてください。
また、英作文では「同じ単語を繰り返すのは単調になってしまうから避けるように」ということが鉄則とされていますが、形容詞を工夫してみると、単調どころかよりエレガントな英語になることもあります。
気候変動枠組条約 =“United Nations Framework Convention on Climate Change ” では発展途上国から、「先進国は成長する過程でさんざんCO2(二酸化炭素)を排出してきたのに、今になってこれから成長しようとする国に排出規制をさせようとするのは不公平だ」という不満の声がずっとあることに関して、ブレア氏はこのように表現していました:
On the one hand there is this entirely understandable need to protect the earth, and on the other hand there is an equally understandable need for prosperity (for the developing nations).
(一方では地球を守るというまったくもって妥当な要求があり、他方ではそれと同等に妥当な(途上国の)繁栄への要求がある)
understandable need =「理解できる・共感できる要求」ですが、日本語としてやや不自然になってしまうので「妥当な言い分の要求」ということで「妥当な要求」としました。
同じ言葉の「妥当な要求」が二回出てきますが、それによって単調になるどころか、問題がどこにあるのかをとてもわかりやすく、かつ効果的に示しています。
entirely understandable の entirely も essential(副詞ならessentially)と同様に「強調」の場面でよく使われますが、 「全体として、包括的に、まったくもって」という意味です。
「地球環境を守らないといけないという必要性、要求はまったくもって妥当なものである。その通りである。だが一方で、それだけを声高に主張したのでは、発展途上国の言い分を無視してしまう。現実的に気候変動に対処してゆくためには、発展途上国の言い分も
equally understandable とまず認めてあげなくてはいけない」
そのようにブレア氏は主張したいのだと思います。そういった含意が見事に短い文章に凝縮されています。
しかも、entirely と equally は同じ E から始まる単語で、 韻を踏んだ形になっているので、とても強い印象を聞く人に与えます。
私もつい覚えてしまったくらい。
恐るべし、RP、Received Pronunciation。そしてスピーチの達人、トニー・ブレア前首相、です。
こう見てゆくと、ブレア氏の英語は、どうやったら自分の伝えたいことをきちんと伝えることができるのかに主眼がおかれていることがわかります。
さて、来週7日から洞爺湖で開催されるG8サミットの取材に私、七尾も行って参ります。G8のみならず、アフリカ諸国やBRICsなど、世界中のリーダーが一堂に会すということは、「世界一流の英語」に触れる絶好のチャンス! というわけで次回は「サミット、英語編」をテーマにさせていただきたいと思います。お楽しみに!
“Received Pronunciation” is not only just “received”, but will also make the message well “received”.
(“Received Pronunciation”とはただ単に容認されているだけではなく、メッセージをよりよく受け止めさせるものでもあります)








