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2008年6月18日 (水)

英語「クール(cool)」急便のお届けに上がりました!

梅雨明けも近づき、だんだんと暑くなってきています。この頃から「涼を取る」というとても美しい日本語を耳にする機会が増えてきます。

暑い毎日が続く盛夏、夕方、気温が下がってきた頃に涼しい風にあたる、という意味です。英語に直すと、take cool という直訳でも、意外におかしくないような気がします。

外国の人に説明するときはこう説明してはいかがでしょう:

Ya_2In Japan, a customary expression that literally translates in English as“take cool,” is still widely in use during summer when describing “to cool oneself down with cool evening breeze.”
(日本では、英語に直訳すると“take cool”となる慣用的な表現があり、現在も夏に「涼しい夕方の風にあたって体の火照り(ほてり)を取る」ことを表す時に広く使われています)

cool は名詞として「涼しさ」を表すこともありますから、まさに「涼」の訳語にぴったりです。

さて、 この英語の cool ですが、上の例文に出てきたように、 主な意味は天候、空気、液体などの状態が「涼しい」「冷たい」「低温」であることを表す「物理的」な言葉です。たとえば、生ものなどを低温で輸送する「クール急便」などは、 cool という言葉本来の意味に忠実なカタカナ英語だと言えるでしょう。

問題なのは、「人」に使われるときや、抽象的な感覚を表すときの
cool です。アメリカ人は、これでもかというくらい日常会話で
cool を多用します。

日本でも、「あの人はクールな人だ」と言いますが、これは「冷静で落ち着いた、でもどこかちょっと冷めたところのある人」という意味ですよね。でもこれはそのまま英語で使うことはできません。

なぜなら、このカタカナ英語の「クール」の意味はとっても複雑。

英語の cool のいろいろな意味をいっしょくたにしてしまった感があります。でも、英語だと、それぞれの状況に応じて意味が限定されます。だから、ネイティブと話すとき、日本人は cool という言葉には特に気をつけないといけないのです。

最も一般的なのは日常会話での「カッコいい」を表すときの使い方です:

Ya_2The new car my friend bought is so cool that when he gives you a ride home, everyone stares at you, or rather, at my friends' car.
(友達が買った新しい車は本当にカッコよくて、家に送ってもらうときは皆が僕のことを見るんだ、僕を、というよりは友達の車を、だけど)

give (someone) a ride~(場所)=「誰々」を「どこどこ」まで車で送る

車や洋服などの「モノ」だけではなく、なにかいいことが起きた場合にアメリカやカナダの人は実に頻繁に cool を使います:

Ya_2Student A: Guess what!
Our sociology class has been canceled because the professor has to attend a conference!

(学生A: ちょっといい知らせだよ! 社会学の授業が休講になったんだ、教授が会議に出席しないといけないからだって!)

Student B: That is so cool!
(学生B: 「  ?   」)

この学生Bの返答を空欄にしたのは、いろいろな訳し方がありえるからです。その地方で、「すごく素晴らしくよいこと」を表す若者言葉を当てはめれば間違いはないでしょう。たとえば、東京の学生なら、「マジで! 超イケてる!」「スゲェ!」「ラッキー!」「ヤバイ!」といった言葉がこの場合の“that is so cool.”の訳語になります。

また、なにかの意見に「異論はない」という意味で使われることもあります:

Ya_2Project leader:
After having discussed thoroughly, we've decided that we are going to stick with the initial plan, despite some objections. Steve, are you cool with it?
(プロジェクト・リーダー: 
いくつかの反論もあったものの、とことん話し合った結果、当初の計画のままに事を進めることになった。スティーブ、君はそれでいいかな?)

Steve: I'm cool.
(スティーブ:いいですよ(問題ないですよ))

cool は「冷静な」「落ち着いた」という意味もあるので、おそらくそこから「落ち着いて同意する」「ことさら感情的になる必要もなく、異論はない」ということで、端的に言うと「OK・大丈夫」という意思表示を表すことになったのではないでしょうか。

上の会話の場合は、おそらくスティーブがなんらかの反対意見を述べていたのでしょう。でもきちんと話し合った結果、特にしこりを残さず、スティーブも当初の計画案で進行することに同意した、ということになります。

  cool person のように「人」に形容詞として用いられる際のいちばん一般的なcoolの意味は「冷静」です。「冷静」という言葉にある「冷」という漢字を見ても、「カッカしない」、つまり「熱くならない」ということが「落ち着き」を表すというのは世界共通なんですね。

ただ、気をつけないといけないことがあります。 cool が人、あるいは誰かの行動に関して使われる場合は、状況によっては「冷たい・無関心」というネガティブな意味が出てくる場合があるからです:

Ya_2Friend: How did Mike reacted when you asked him out to dinner?
(友人: 食事に誘ったらマイクの反応はどうだった?)

Sara: Oh, he was quite cool about it.
(サラ: うん…  けっこう冷淡だったよ)

「冷淡」と訳していますが、デートに誘ったときの相手の反応に関することですから「無関心」と訳してもいいですね。他にも同様のことを cool を使って次のように言うことができます:

Ya_2He responded coolly.
(彼は冷たく答えた)

His reaction was a cool one.
(彼の反応は冷淡なものだった

たとえば“He was cool.”だけだった場合は、「冷静に受け止めた」なのか「冷たかった」のかよくわかりません。どちらとも取ることが可能です。

そんな時は“What do you mean?”=「どういう意味?」 と聞いてみるといいでしょう。

cool は、状況と場所、使う人によって温度差のあるコトバなので、気をつけないと “not so cool situation”=「ちょっとヤバイ状況」に陥ってしまいかねません。でも使い方を間違えてしまったときでも、cool down=「冷静に」と自分に言い聞かせて、 「クールに」対処すれば大丈夫でしょう。