Oh~ off the “hook,”
掛け金を掛け間違えると・・・寝不足?!
先日、家に帰ると姉が遅くまで起きていました。「寝ないの?」と聞くと、「ニューヨークの本社から Telephone Conference (電話会議)の電話がかかってくる」のだそうです。
すると、姉の Blackberry (金融関係者の間で広く使われているカナダ発の携帯情報端末)に当のニューヨーク本社から、こんなメッセージが届きました:
Let's do the telephone conference after lunch.
Keiko (仮名), you are off the hook.
最初のセンテンスは「電話会議はランチの後にしよう」ですが、その後の
you are off the hook.
はどうでしょう? なんとなく、電話会議はランチの後になるってことは、日本時間では深夜ですから、常識的に解放されるのかな、と推測はできます。
それに off という単語が入っているから、「やらなくていいよ」的なニュアンスは伝わってきます。
この会話の流れで、 off the hook が出てくると、つい電話に関係した意味かな? と思ってしまいますが(→日本でのオンフック/オフフックのとらえられ方)、辞書的な意味としては間違っていませんが、それだと文脈の意味を読み違えてしまう可能性も出てきます。
実はこのメッセージ、難易度が高いんです。
- off the hook-(1)窮地を抜け出す (2)面倒から解放される (3)受話器が外れる
hook は読んで字のごとく「フック」で、なにかを引っ掛けるような留め金、掛け金、かぎ、のことです。洋服を壁に引っ掛けるための留め金がいちばん一般的な「フック」でしょうか。
また、魚釣り用のかぎ針のことも指します。 off the hook とは、まるで魚が釣り針から解放されるかのように、なにか「面倒な事態から解放される」、あるいは「窮地を抜け出す」を意味します。
一方で、「受話器が外れる」とはどういうことでしょうか?
昔は、電話は主に「壁掛け電話」でした。そのころは、受話器はまさに壁の「フック」に「掛ける」もの。そこから the telephone is off the hook. で「受話器が外れる」になったんですね。
また、「電話が鳴りっぱなし」も off the hook を使って表します:
The phone has been ringing off the hook.
(電話はずっと鳴りっぱなしだ)
これは、電話が鳴りっぱなしで、受話器を何度も何度も取るために「掛け金・フック」に収まることがないくらいだ、ということなのでしょう。
でも、この「電話が鳴りやまない」という意味を、姉がニューヨークから受け取ったメッセージにうっかり当てはめてしまうと、「もしかしたら電話から離れるなって意味なのかな、じゃあ向こうのランチが終わるまでずーっと寝ないで待ってないといけないのかな、明日も早いのに…」なんていう恐るべき勘違いをして、みんなが不幸になったかもしれません(笑)。
もう一度メッセージをよく見てみましょう:
off the hook の主語は telephone ではなくて Keiko です。
ということは、ケイコ自身が「面倒から解放された」ということですね。かみ砕いて言うとこうなります:
The telephone conference has been rescheduled for after lunch our time, so we no longer expect you to stay up in Tokyo.
(電話会議はこちらの時間で(our time)ランチの後に予定変更されたので、東京にいるあなたはこれ以上寝ないで起きている必要はありませんよ)
となります。もう一つ考えられるのは、ケイコを「受話器」に見立てる場合。これだと、「電話」から「外れて」いいよ、つまりもう電話に出なくていいよ、ということになります。
多分、このメッセージを送信したニューヨークの上司は、「受話器が外れる」というニュアンスと、「面倒から解放される」というニュアンス両方をこめて、「もういいよ、電話に出なくていいよ、面倒かけてごめんね」といったキモチを表したかったのだと思います。
これは、ネイティブならではの「達人」な使い方。
日本人は、マジメなので、辞書を引いて、「こちらの意味だろうか、それともこちらの意味かな…」と悩んでしまいます。
また、たいていの辞書では get off the hook はあっても、人を主語として you are off the hook. という使い方までは出てこなかったりします。
すると「もうお手上げ!」っていう感じになってしまいますよね。
でも、ネイティブはそんなに堅苦しく考えて英語を話したり、書いたりしているわけではありません。手強い表現に遭遇したら、なんとなく頭のなかでイメージしてみるといいでしょう。
off the hook なら、「フックから外れる」だから、 「かぎ針のようなものからするっと自分が外れる感じ」のイメージ。
すると、なんとなく「ああ、自分はもう寝てイイってことだな」という見当がつきます。せっかく電話の話題が出てきたので、次回は Telephone English 特集にさせていただきたいと思います!








