Oh~う゛ぁきゅ~~ん(む)!
日銀総裁<不在>と<掃除機>の奇妙な関係
現在、日本の中央銀行である日銀の総裁が不在です。これを英語で言うと:
Currently, the Governor of Bank of Japan (BOJ), which is Japan's Central Bank, is absent.
福井前総裁が退任したのが3月19日、この日の英紙フィナンシャル・タイムズのヘッドラインにはこうありました:
Fukui Leaves BOJ Leadership Vacuum
vacuum というのは「真空状態」「空虚」「空白」「空所」という意味。 in a vacuum だと「孤立状態」になり、 比ゆ的に使われます。
総裁の椅子に座る人がこつぜんといなくなってしまった、まさに「がらんどう」な総裁室のイメージがよく伝わってきます。
vacuum は次のような文学的表現で使われることがあります:
His beloved wife's death left a vacuum in his heart.
(最愛の妻の死は彼の心にぽっかりと穴を残した(あけた))
leave をともなって vacuum を使うと、「空白」= vacuum を残した、となります。
フィナンシャル・タイムズ紙の見出し Fukui Leaves BOJ Leadership Vacuum は、【福井氏が「去る=leave」】と、【「真空」を「残す、おいていく=leave」】の二つの leave がかけられているのだと思いますが、 ウマい見出しです。
3月19日の福井総裁の任期切れを前に与野党が攻防しているさなか、私はこのニュースが海外メディアによってどう配信され、どう受け止められているかについて取材しました。
ある海外通信社の日本支局長を取材すると、非常に興味深いことを指摘してくれました:
The most surprising thing to me is the fact that this situation could not have been avoided even though it has been clear to everyone's eyes that the Democrats would reject Muto as the BOJ governor ever since last summer's Upper House election.
Thus, everyone saw it coming, there was plenty of time to do something about※ it, yet it happened anyway.
(私にとって何よりも驚きなのは、昨年夏の参院選以来、民主党が武藤氏の日銀総裁案を否決するだろうことは誰の目にも明らかであったのにも関わらず、この事態(日銀総裁の空席)が避けられなかったということです。
つまり、この事態が近づいていることはみんなが見ていて、なんとかするためにはたっぷりの時間があったのに、それでも起きてしまったということなのです。)
※do something about~ ~について何とかする
言われてみればその通りだな、と感じました。
参院で与野党が逆転し、いわゆる「ねじれ国会」になったときから、次期総裁候補に元財務官僚の武藤氏の名前は浮上していて、民主党は武藤総裁人事案には「同意しない」という姿勢を明らかにしていたわけです。
つまり、 vacuum という異常事態を避けるためには8ヶ月もの月日があったわけですから、いくらでも「避けられたはず」… it could have been avoided 、 という見方は至極妥当ではないでしょうか。
私が話を聞いた支局長は、日銀総裁空席が現実味を帯びてきた3月9日の週末、日本メディアのトップニュースは「名古屋マラソン」であったことに更なる驚きを覚えた、と言っていました:
Had this been in the US, if no one knew who was going to be the next Chairman of FRB when Greenspan was about to leave, then it would be the top news everyday, the world would go upside down. I mean yesterday's top news in Japanese media was marathon!
(だってそうでしょう、もしこれがアメリカだったら、もしグリーンスパンが去ろうとしているときに、次のFRB(= Federal Reserve Board …「連邦準備制度理事会」、アメリカの中央銀行にあたります)議長が誰なのかわからなかったら、連日トップニュースになりますよ、世界的混乱が起こるでしょう。日本メディアのトップニュースなんてマラソンだったんですよ!)
確かに…。
世界第二位の経済大国である日本の中央銀行のトップの座が空席に!
やはり世界でも大きく伝えられているのでは?! ということで意気込んで海外メディアに取材に乗り込んだところ、
「日本のメディアはいったいどうなってるんですか? 逆にあなたに聞きたいくらいですよ」
= What's going on with the Japanese media? I would like to ask you in return!
とツッコミを入れられてしまったという次第…もう日本国民の一人として悲しいやら情けないやらの気分でした(泣)、トホホ。
そんな「トホホ」な事態を招いてしまった、いちばんの責任者である福田総理。民主党の反対に対して
「わけがわからないんです」
と匙(さじ)を投げるような発言。
日本のトップがそうおっしゃっているのですから、外国メディアにツッコミを入れられた私も「わけがわからない」…
I have no idea, it's incomprehensible.
(皆目見当がつかない、理解不能)
と答えるしか術がないのでしょうか。
いえ、それではいけないはずです。
「わけがわからない」のなら、その「わけ」を「わかるようにする」のが一国の総理大臣のお仕事だと思いませんか?
どうにもならない状況に対して「なんとかして!」というキモチを込めて、
Please, do something about it!
(お願い、なんとかして!)
と言います。
ここは一つ、
「福田総理大臣、DO SOMETHING ABOUT IT!((とにかく)なんとかして!)」
とお願いしたいところです。
ちなみに vacuum ですが、とっても身近なある家電用品もこう呼ばれています。
vacuum cleaner =「掃除機」、から、 vacuum vacuum-clean を「掃除機をかける」という動詞として使います。
永田町の混乱のせいでとうとう今日からガソリン税が1リットルあたりおよそ26円値下がりし、日銀総裁も不在(= vacuum )のまま。世界からも国民からも孤立しつつある(= in a vacuum )日本政治。
…もしかするといちばん必要とされているのは巨大掃除機による大掃除なのかも?!ということで、このセンテンスでシメさせていただきます:
Japanese political vacuum has left the BOJ governorship vacuum, we might as well vacuum-clean the Diet's red carpet!
(日本の政治的空白は日銀総裁の空席を招きました、こうなったらいっそのこと国会の赤じゅうたんに掃除機をかけ(= vacuum-clean )た方がいいかもしれません!)
≪追伸≫
…というより何よりも vacuum-clean を必要としているのは散らかったわが家かもしれません、これぞ人の振り見てわが振り直せ、でしょうか、トホホ…(苦笑)。







