仮定法は「かてぇ」こと言わずに「ありえな~い」で攻略せよ!
このメルマガを読んでいる、英語を仕事でよく使う知人からこんなリクエストがきました。
七尾さん、今度 もし~だったら ってときの英語について書いてくださいよ。 If I were~ とか Had~ I would have~ とか。あれ、なんで I なのに was じゃなくて were になるのかとか、どうもよくわからないんですよ。
知人が言っているのは英語でいう conditional のことです。
日本人がもっとも頭を悩ませるものなのですが、それには理由があります。日本の<英文法>では<仮定法>として習いますが、実はこの<仮定法>、 conditional の一部を抜粋したもの。
ですから、実際の英語にふれると「あれ? 自分が習った仮定法とちがうぞ…」と思ってしまうのです。今回から二回にわたって、 conditional を扱います。
conditional には、四つのレベルがありまして、 それぞれの内容の<ありえる/ない度>によって時制などが変わります。
七尾流に、
| 1.<一般的にありえる...past/present real> =<事実の仮定> 2.<けっこうありえるかも...future real> 3.<ちょっとありえないんじゃないの?...present/future unreal> 4.<ありえなかった...past unreal> |
としてみます。
より現実的なことを語る表現から、だんだんと<仮定>の度合いが強くなっていく表現の順にご紹介してゆきましょう。
まずは1.<一般的にありえる...past/present real>から。
1.<一般的にありえる>=<事実の仮定> ★if節と帰結節の時制がいっしょ! 【if節…過去形】+【帰結節…過去形】 |
これは一般的にありえる「事実」を if を使って述べる場合です。
仮定法は、出来事のおきた「時間」と、動詞の「時制」を<ズラす>ことによってその出来事の<ありえなさ>を表現します。ですが、
□個人的な日常的事実
■一般的な事実
のように<ありえる>ものについては、 if がついていても<動詞の時制>と<実際の時間>は一致するんです。
□個人的な日常的事実...something real
If I had a day off from work, I often went to the aquarium.
(一日仕事がオフの日があったら、よく水族館に行ったわ)
If I go to the starbucks, I usually order today's coffee.
(スターバックスに行くと、たいてい本日のコーヒーを頼みます)
このように、過去、現在の個人的な日常的習慣で、「実際、そうしている(いた)」という話は、時制をズラす必要はありません。
real な話なので、 past/present real となるのです。
■一般的な事実...something true
If you forget to turn off the light, you waste a lot of electricity.
(電気を消し忘れると、たくさんの電力を無駄にする)
→あれ? if なのに forget も waste も現在形? それに帰結節には will とかをつけなくちゃいけないんじゃかった? と思った方も多いでしょう。でも、「電気を消し忘れると、たくさんの電力を無駄にする」というのは単なる「事実」ですので、「現在形」でいいんです。
Prices rise if demand rises.
(需要が多くなれば価格が上がる)
→ここでも、 Prices will rise とは言わずに、単純に Prices rise でよいのです。というのも【ある商品を求める人が多くなればなるほど、価格が上がる】というのは、「上がるだろう」ではなくて「絶対上がる」(まぁ例外もありますが…ここでは経済の原則にのっとりましょう)ので、 will はいらないんです。
ただ、ちょっとややこしくなってくるのがこのあたりから。
If a company goes out of business※, employees lose their job.
(会社が倒産すれば、従業員は職を失う)
※ go out of business =「倒産する」= go bankrupt
a company で a =<不定冠詞>がついているので、特定の会社ではなく一般論ですから、この場合も「事実」になります。
ところが、 a company ではなく、 my company になったらどうでしょうか?
If my company goes out of business…
(もし私の会社が倒産したら…)
さてあなたはどうなるのでしょうか?
2.<けっこうありえるかも...future real>
|
If my company goes out of business… とは、「あなたの会社」という特定の会社の「未来」のことを話しているので、もはや一般論ではありません。このように「未来の状況」の「可能性」や「予測」は:
If my company goes out of business, I will lose my job.
(もし私の会社が倒産したら、私は失業するだろう)
となり、if節は<現在形=goes>と前と同じですが、帰結節では、<will+[動詞の原型=lose]>となります。
will のほかに、<未来の可能性・予測>には、 can/should/might が使われます。
I will go shopping unless it rains.
(雨さえ降らなければ、私はショッピングにいくだろう)
She might take the job if her husband takes care of their child.
(旦那が子供の面倒を見れば彼女は仕事の話を受けるだろう)
まだ起きていない未来の状況の「可能性」や「予測」をしている場合は、やはり「未来」なので「ある程度ロジカルに」「ありえるかも」しれないので、 英語では future real conditional と呼ばれます。
ここに更に<ありえない度>が加わった場合はどうでしょう?
たとえば上の例文では、「子供の面倒を夫が見る」ことがあれば、当然彼女は仕事に就くでしょう。ところが、夫の会社は子育てに全く理解がないので、彼女が仕事をするのは実際にはかなり<ありえない>、という場合はどうなるでしょう?
こうなると、次のレベルに移行します。
3.<ちょっとありえないんじゃないの?...present/future unreal> 【if節…過去形】 |
先ほどの例文はこんなふうに変わります。★青字の時制の変化に注目!
夫が子供の面倒を見ることがありそうな場合
She might take the job if her husband takes care of their child.
(旦那が子供の面倒を見れば彼女は仕事の話を受けるだろう)
夫が子供の面倒を見ることは、実際、なさそうな場合
She would take the job if her husband took care of their child.
(旦那が子供の面倒を見るなら、彼女は仕事の話を受けるだろう(が、その可能性は低いだろう))
if節では took と<過去形>、帰結節では would take という<過去の助動詞+原型>。
ただ訳すと、「もし旦那が子供の面倒を見るなら、彼女は仕事の話を受けるだろう」となりますが、英語だと:
「とはいえ夫はまず子供の面倒を見ないだろう」 =<ちょっとありえないんじゃないの> |
というニュアンスが示唆されています。
<future unreal>は、 想像した未来の状況が非現実的であることを示しますが、これは2.の<けっこうありえるかも...future real>よりも使われる頻度は少ないんです。
なぜって、ネイティブ・スピーカーは、基本的に<未来はオープン>にしたいという意識が強いからです。でも、<ちょっとありえないんじゃないの…future unreal>は、「びみょ~」なニュアンスを伝えることができるので、状況に応じて使われます。
…たしかに夫が子供の面倒を見るのは <ちょっとありえないんじゃない>って感じ。 でも、希望的には面倒を見てもらいたい。 だから一応<可能性>だけは残しておく… |
という妻の「びみょ~」な気持ちが表現されるわけです。
というわけで、今回は<英文法>で省かれてしまいがちな<仮定法>を中心に扱いましたが、次回は3.<ちょっとありえないんじゃないの>=<仮定法過去>のつづきと、4.<ありえなかった>=<仮定法過去完了>に取り組みましょう。







