前の記事へ |  トップページへ |  次の記事へ

2007年11月 7日 (水)

仮定法は「かてぇ」こと言わずに「ありえな~い」で攻略せよ!

このメルマガを読んでいる、英語を仕事でよく使う知人からこんなリクエストがきました。

七尾さん、今度 もし~だったら ってときの英語について書いてくださいよ。 If I were~ とか Had~ I would have~ とか。あれ、なんで I なのに was じゃなくて were になるのかとか、どうもよくわからないんですよ。

知人が言っているのは英語でいう conditional のことです。

日本人がもっとも頭を悩ませるものなのですが、それには理由があります。日本の<英文法>では<仮定法>として習いますが、実はこの<仮定法>、 conditional の一部を抜粋したもの。

ですから、実際の英語にふれると「あれ? 自分が習った仮定法とちがうぞ…」と思ってしまうのです。今回から二回にわたって、 conditional を扱います。

conditional には、四つのレベルがありまして、 それぞれの内容の<ありえる/ない度>によって時制などが変わります。

七尾流に、

1.<一般的にありえる...past/present real>
=<事実の仮定>

2.<けっこうありえるかも...future real>
=<未来の可能性・予測>

3.<ちょっとありえないんじゃないの?...present/future unreal>
=<仮定法過去>

4.<ありえなかった...past unreal>
=<仮定法過去完了>

としてみます。

より現実的なことを語る表現から、だんだんと<仮定>の度合いが強くなっていく表現の順にご紹介してゆきましょう。

まずは1.<一般的にありえる...past/present real>から。

1.<一般的にありえる>=<事実の仮定>

★if節と帰結節の時制がいっしょ!

 【if節…過去形】+【帰結節…過去形】
 【if節…現在形】+【帰結節…現在形】

これは一般的にありえる「事実」を if を使って述べる場合です。

仮定法は、出来事のおきた「時間」と、動詞の「時制」を<ズラす>ことによってその出来事の<ありえなさ>を表現します。ですが、

個人的な日常的事実
一般的な事実

のように<ありえる>ものについては、 if がついていても<動詞の時制>と<実際の時間>は一致するんです。

個人的な日常的事実...something real

Ya_2If I had a day off from work, I often went to the aquarium.
(一日仕事がオフの日があったら、よく水族館に行ったわ)

Ya_2If I go to the starbucks, I usually order today's coffee.
(スターバックスに行くと、たいてい本日のコーヒーを頼みます)

このように、過去、現在の個人的な日常的習慣で、「実際、そうしている(いた)」という話は、時制をズラす必要はありません

real な話なので、 past/present real となるのです。

一般的な事実...something true

Ya_2If you forget to turn off the light, you waste a lot of electricity.
(電気を消し忘れると、たくさんの電力を無駄にする)
→あれ?  if なのに forgetwaste も現在形? それに帰結節には will とかをつけなくちゃいけないんじゃかった? と思った方も多いでしょう。でも、「電気を消し忘れると、たくさんの電力を無駄にする」というのは単なる「事実」ですので、「現在形」でいいんです。

Ya_2Prices rise if demand rises.
(需要が多くなれば価格が上がる)
→ここでも、 Prices will rise とは言わずに、単純に Prices rise でよいのです。というのも【ある商品を求める人が多くなればなるほど、価格が上がる】というのは、「上がるだろう」ではなくて「絶対上がる」(まぁ例外もありますが…ここでは経済の原則にのっとりましょう)ので、 will はいらないんです。

ただ、ちょっとややこしくなってくるのがこのあたりから。

Ya_2If a company goes out of business, employees lose their job.
(会社が倒産すれば、従業員は職を失う)
go out of business =「倒産する」= go bankrupt

Ya_2a companya =<不定冠詞>がついているので、特定の会社ではなく一般論ですから、この場合も「事実」になります。

ところが、 a company ではなく、 my company になったらどうでしょうか?

Ya_2If my company goes out of business…
(もし私の会社が倒産したら…)

さてあなたはどうなるのでしょうか?

2.<けっこうありえるかも...future real>
=<未来の可能性・予測>


【if節…現在形】
+【帰結節…will/can/should/might+動詞の原型】

If my company goes out of business… とは、「あなたの会社」という特定の会社の「未来」のことを話しているので、もはや一般論ではありません。このように「未来の状況」の「可能性」や「予測」は:

Ya_2If my company goes out of business, I will lose my job.
(もし私の会社が倒産したら、私は失業するだろう)

となり、if節は<現在形=goes>と前と同じですが、帰結節では、<will+[動詞の原型=lose]>となります。

will のほかに、<未来の可能性・予測>には、 can/should/might が使われます。

Ya_2I will go shopping unless it rains.
(雨さえ降らなければ、私はショッピングにいくだろう)

Ya_2She might take the job if her husband takes care of their child.
(旦那が子供の面倒を見れば彼女は仕事の話を受けるだろう)

まだ起きていない未来の状況の「可能性」や「予測」をしている場合は、やはり「未来」なので「ある程度ロジカルに」「ありえるかも」しれないので、 英語では future real conditional と呼ばれます。

ここに更に<ありえない度>が加わった場合はどうでしょう?

たとえば上の例文では、「子供の面倒を夫が見る」ことがあれば、当然彼女は仕事に就くでしょう。ところが、夫の会社は子育てに全く理解がないので、彼女が仕事をするのは実際にはかなり<ありえない>、という場合はどうなるでしょう?

こうなると、次のレベルに移行します。

3.<ちょっとありえないんじゃないの?...present/future unreal>
=<仮定法過去>

【if節…過去形】
+【帰結節…would/coud/should/might+動詞の原型】

先ほどの例文はこんなふうに変わります。青字の時制の変化に注目!

夫が子供の面倒を見ることがありそうな場合

Ya_2She might take the job if her husband takes care of their child.
(旦那が子供の面倒を見れば彼女は仕事の話を受けるだろう)

↓ありえる度down↓

夫が子供の面倒を見ることは、実際、なさそうな場合

Ya_2She would take the job if her husband took care of their child.
(旦那が子供の面倒を見るなら、彼女は仕事の話を受けるだろう(が、その可能性は低いだろう))

if節では took と<過去形>、帰結節では would take という<過去の助動詞+原型>。

ただ訳すと、「もし旦那が子供の面倒を見るなら、彼女は仕事の話を受けるだろう」となりますが、英語だと:

「とはいえ夫はまず子供の面倒を見ないだろう」
=<ちょっとありえないんじゃないの>

というニュアンスが示唆されています。

<future unreal>は、 想像した未来の状況が非現実的であることを示しますが、これは2.の<けっこうありえるかも...future real>よりも使われる頻度は少ないんです。

なぜって、ネイティブ・スピーカーは、基本的に<未来はオープン>にしたいという意識が強いからです。でも、<ちょっとありえないんじゃないの…future unreal>は、「びみょ~」なニュアンスを伝えることができるので、状況に応じて使われます。

…たしかに夫が子供の面倒を見るのは
<ちょっとありえないんじゃない>って感じ。
でも、希望的には面倒を見てもらいたい。
だから一応<可能性>だけは残しておく…

という妻の「びみょ~」な気持ちが表現されるわけです。

というわけで、今回は<英文法>で省かれてしまいがちな<仮定法>を中心に扱いましたが、次回は3.<ちょっとありえないんじゃないの>=<仮定法過去>のつづきと、4.<ありえなかった>=<仮定法過去完了>に取り組みましょう。