<なるほど、いかにも>オトナ語は英語で“indeed”?
あなたは一日何回「なるほど~」とおっしゃるでしょうか。
私の友人が、こんなことを言っていました:
テレビに出ている人はよく『なるほど、なるほど』って連発するけど、あれって『なるほど』って別に思わなくてもいいところでも使う人が多くてわざとらしい感じするよね~
そのとき、私は(自分自身の反省もこめて)心から「なるほど…」と感じ入った次第です(笑)。
でも「なるほど」って確かに「場を持たせる」のにはとっても便利な言葉ですよね。使い過ぎると、滑稽になっちゃうんだけど、適度に言っているぶんには「無難」な「オトナ言葉」の一つ。
ちょっと古い感じなら「いかにも」とか、「ごもっとも」とか。
果たしてこれらの「オトナ語」に相当する英語はどんな英語?というのが今回の『Express Yourself』のテーマでございます。
【なるほど】と言いたいとき。あなたは英語でどう表現しますか?
「なるほど」は、何かを説明され、「了解した」ことを伝えたいときに便利な日本語です。
このニュアンスを伝えるために、 日本人は I understand. と言いがちです。が、これだけだと妙な印象を与えてしまいます。
というのも、 understand は「理解した結果どのような知識が得られたのかを強調する動詞」です。 I understand. とだけ答えると、間抜けな印象を与えてしまいかねませんし、場合によっては
Do you really understand what I'm saying?!
(本当に私の言っている意味がわかってるの?!)
と怒られてしまうかもしれません。
understand を使う場合は「何を」「どのように」「理解したのか」を明確に表現しないといけませんから、会話の中でそのまま使うと不自然です。不自然でないようにするには、
I think I'm beginning to understand what you are saying.
(なんとなくあなたの言っていることが見えてきたよ)
I think I have understood.
(だいたいわかったよ)
など、すこし「お茶を濁す」必要があります。
それだけ understand はハードルが高い「理解」なので、会話の中でそのまま使うと変なんです。
でも義務教育の英語では understand =「理解」とオートマチックに教えてしまう。これを茶化してか、ハリウッド映画でスーツ姿の日本人サラリーマンがこれでもかという強い日本語アクセントで
「イエス! アイ・アンダースタンドー!」
と直立不動で答えている姿を何度か目にしたことがあります。
そんなふうに馬鹿にされないためには indeed が便利です。
indeed
《副詞》(1)確かに,実に,まさに,本当に
(2)(譲歩)なるほど ---E-DICより引用
もともとは in deed =「実際に」、という in fact と同じように使われる形が本義ですが、最近は indeed というひとつながりになった副詞のほうがよく使われますね。
in deed を in fact in reality in truth などの代わりに用いるのは、ブリティッシュ・イングリッシュのかなり格式ばった話し方に限られます。
間違えないためには、 in fact で代替可能な意味のところでは in deed を用いる、と覚えておけばよいでしょう。
古英語までたどると、 deed は動詞の do と同じ語源を持ち、「行為、行動」を意味するようになりました。
現在は deed 単体だと、不動産などの権利証書などを意味する法律用語として使われます。言葉自体にしゃちほこばった所があるので、 indeed は、ちょっと知的で、悪くすると慇懃(いんぎん)な印象を与えかねない(苦笑)ところまで「なるほど」に近い英語です。
| [ indeed を間投詞的に使う] … indeed 単体で、驚きや、皮肉の表現 |
なぜ「皮肉」にもなるのかというと…
たとえば… とんでもなく嫌な男として職場では有名なマイケルが近々結婚するということで、同僚はいぶかっていたところ、婚約者に逃げられたらしい、という知らせが届いた状況でのこんな会話:
Colleague A: But who would actually want to marry someone like Michael?!
( 同僚A: だいたいマイケルみたいなヤツと結婚したい人なんているわけがないんだよ!)
Colleague B: Indeed.
(同僚B: ホントそうだよね/いるわけないよ/なるほどねえ/まさか)
この場合、発音したときに語尾が下がる場合は、皮肉になります。もし語尾が上がる場合は、ただ「驚き」を表すので、マイケルの評判を知らない人が「そうなの?!」と驚いていることになります。
辞書どおりに訳してしまうと、「まさにそうですね」「実際、そのとおりです」などになりますが、そんなしゃちほこばって答える人は「実際」いません。
上の文では「なるほどねぇ」とも訳せます。
つまり、「だって嫌なヤツなんだし、逃げられて当然でしょ」という同僚Aの分析に対して、同僚Bが「それもそうだ、なるほどね」と答えている、とも解釈できるからです。
また、誰かの主張にたいして、「たしかにそうだ」という同意を表すとき、あいづちのように「なるほど、なるほど」と日本語でも言いますが、 indeed でもまったく同じように使えます。
軽い感じで Indeed, indeed. と繰り返すようなときには、 「なるほど、なるほど」「いかにも、いかにも」「そうだね、そうだね」といった程度の意味合いになります。
一方で、 indeed が曲者なのは、 but を伴う場合も多いということ。 indeed-but ですと、 一応同意しておいて自分の別の意見を述べることになります。マイケルのケースだと、
Indeed, he is a bastard, but he is a millionaire.
(なるほどたしかに彼はひどいヤツだ(だから君の言うとおり誰も結婚したがらないかもしれない)、でも百万長者だからね)
というように。
アメリカ人は but が好きだとよく言われます。 Yes, but… で自分の意見を述べる場面がCNNの討論番組を見ていても多いですね。
このときに、 Indeed を Yes のかわりに、 あるいは Yes のあとに付けて Yes indeed,… としても大丈夫ですが、 indeed を使うことで知的な印象を与えることができます:
Pundit A: Prime Minister Abe is now a lame duck.
(コメンテーターA:安倍総理はレーム・ダック(死に体)だね)
Pundit B: Yes indeed, but it doesn't mean that the voters want to see Mr. Ozawa as Japan's Prime Minister.
(コメンテーターB:たしかに。でもだからといって有権者は小沢氏(民主党代表)に日本の総理大臣になってほしいと思っているということではないですよ)
| [ indeed を文末にくっつける] … 強調したいとき |
何かを強調したいときに indeed をくっつけるという使い方もあります。
お盆休みは連日猛暑でとにかく「暑い」ですね…、という普通の会話に indeed を付けてみましょう。
It has been so hot lately.
(最近本当に暑いですね)
It is very hot indeed.
(いやぁ、本当に暑いですね)
こんな普通の会話でも、何かを言った後に indeed を付け加えると、なんとなく「こなれた」英語を話している感じがします。
ちょっと試してみてください。
ところでこのコラムも始まってからまもなく一年が経とうとしていますが、最近はバックナンバーのアクセス数もよろしいようで、皆様のご愛読にただただ感謝するばかりです。
これからもがんばりますのでどうぞよろしくお願いします。最後に例文をもう一つ…。
Time flies so fast indeed.
(それにしても※月日が経つのは早いもので…)
※「それにしても」が indeed の訳にあたりますね!







