“Are you connected?”
「つながっている」政治家は信頼できる政治家
参議院議員選挙で、自民党は歴史的大敗を喫しました(2007年8月1日配信)。
国民の「信任」を得られなかった安倍自民党政権…、今回は政治の「信頼感」に関係した英語について考えてみましょう。
「信任」を得られなかった、つまり「不信任」とは英語でどう言うのでしょうか。
アメリカでは大統領の「罷免(ひめん)」を求める「弾劾決議」を出すことを
impeachment と言います。
イギリスなどの議院内閣制では「不信任案(の投票)」は vote of no-confidence 。
confidence の辞書の意味をあらためて見てみましょう:
confidence
《名詞》
(1)信頼,信用;信任 (2)自信,確信;度胸
(3)秘密;打ち明け話 ---E-DICより引用
confidence のファミリーに属す言葉で、 confident があります。いちばん一般的な用法は、「それは確かですか?」と誰かに問われて、「もちろん。自信あります。」というふうに答えるとき。
たとえば、オフィスでのこんな会話。
Boss: Are you sure you can handle your presentation today?
(今日のプレゼンテーションは大丈夫かね?)
Bill: Yes.
(はい)
Boss: Are you confident? Can I put my trust on you?
(自信あるんだね? 信頼していいんだね?)
Bill: Yes, I'm confident.
(はい、大丈夫です)
2番目のBillの返答 I'm confident. を「私は大丈夫です」と訳したのには意味があります。
通常なら、「自信あります」と訳すべきでしょう。でも、これだと日本語にどうもなじまない気がします。「自信あります!」ってなんだかテレくさいし、ちょっと歯が浮くような気がするし、それに、そんな大見得を切って失敗したら困りますよね。
あんまり「日本的でない」<訳>になってしまうのです。
その前の Are you confident? は、「大丈夫!」って太鼓判を押して、目と声に力を込めて、ちょっと不安に思っている相手を納得させる言葉。
だから I'm confident. は、ただ言うだけではだめ。心を込めないといけません。
この confident と非常に似ていて、 ひんぱんに使われる表現があります。 mean です。
You have to mean it, otherwise you won't be able to convince someone.
(本気でないといけません、そうでないと他の人を納得させることはできません)
I really mean it. =「本気です。」 Do you really mean that? =「それ、本気なの?」 「本当の気持ちなの?」 などもよく言います。
CNNの Pundits =「評論家たち」が、政治家の発言に対して、こう言います。
I doubt if he (she) really means it.
(彼(彼女)が本当にそう思って(言って)いるのか疑問です)
最近読んだハリー・ポッターの最終巻、 Harry Potter And the Deathly Hallows でも、この mean it がよく出てきます。
魔法の呪文を唱えるときは、本当にそのマジックを心から起こしたいと思わないと、 It does not work. =「効かない」のです。
たとえば( Potterian =「ハリポタ・ファン」でない人にはちょっとわかりにくい例で恐縮ですが…)、ダンブルドア校長が、ハリーに次のように諭す(さとす)のです:
You have to really mean it to make you spell work.
(呪文を効かせるためには、心から念じないといけない、本気でそう思わないといけない)
なぜなら、心から言わないと信じてもらえない、 convinced =「納得して」もらえないからなのです。
confident は人に対するほめ言葉として欧米でよく使われます。
He's a confident person.
(彼は、自分に自信のある、落ち着いた、人だよね)
confident な人とは、 実力に裏付けられた自信にあふれているために、安定感があり落ち着いている人をさします。欧米ではなによりも評価される性質と言ってよいでしょう。外資系の会社などの面接で、評価欄に confident と書かれれば受かったも同然です。
悪い意味の「自信」】は英語で?
最近の日本の政治家でこの形容詞があてはまる人と言われると、つい考えこんでしまいますね。私がとっさに思いつくのは、惜しくも今年永眠された故宮沢喜一首相。
彼は、ひとつひとつの言葉を、長年の経験と見識から、心からそう思って、信念から発していたのだと思います。
He really meant each and every word he spoke.
だからこそ、彼は confident に見えたのでしょう。
一方の安倍総理大臣はどうでしょう。
選挙戦から一夜明けた月曜日、安倍総理は会見で、「(参議院で大敗しても)政権の基本路線は支持していただけた」と語り、だからこそ「続投することで責任を果たす必要がある」と語りました。
でもこの安倍総理の会見が convincing =「納得できる」、と感じた人は少ないのではないでしょうか?
もしかすると、彼自身が「続投することには無理がある」と心のどこかで思っているのかもしれません。「辞めるに辞められない」事情があるのかもしれませんが、そのことを率直に語っていないような印象を与えてしまうのです。この安倍総理と国民の関係を表すのにとても便利な英語があります。
disconnected
connect は文字通り「つながっている」ということです。
その否定形なので、「つながっていない、距離感を感じさせる、疎外感を与える」という意味。 disconnected を、国民とリーダーである総理大臣の関係のような「人間関係」に使う場合は、「ハートとハートがつながっていない」という深いところまで表現できます。
カタい日本語ですと、「人心を掌握(しょうあく)していない」となります。今回の参議院選挙、まさに自民党は国民のハートをつかめなかった、そして国民のハートは自民党から離れてしまった結果になったわけですから、
The voters felt the Prime Ministers to be disconnected.
(有権者は、総理大臣との間に距離を感じた政権から疎外感を抱いた)
と要約できるでしょう。小泉前総理は逆に、
Someone who appeared confident, who made you feel connected.
(安心してものごとをまかせられるな、つながっているなと感じさせた人物)
だったのでしょうか。
いったい何が connected と disconnected の明暗を分けるのか、 こればっかりはその人の personality =「人となり」としか言いようのないものなのかもしれませんね。
Can you say with confidence that you are in deed a confident person, and that you are able to make people feel connected?
(あなたは、自分は落ち着いた(しっかりした、安定感のある、自信にあふれた)人間で、まわりのひとの心をつかむことができる人間だと自信をもって言えますか)







