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2007年6月20日 (水)

“deal”と向き合う:
Deal with “Deal” and Treating “Treat”

前回の『Express Yourself』では厄介な英語、 dare を取り上げました。「やっと意味が理解できた!」という感想を多くいただいた一方で「使いこなすのは大変そう」というご意見もありました。

でも! 私だって「英語を使いこなす」にはほど遠いんです。

よく言われることですが、英語はフランス語など他のヨーロッパ言語に比べると、女性名詞・男性名詞もないし、動詞活用もかなり簡略化されていて、「とりあえず習得する」のは一番簡単な言語。

でも語彙が多い!

そして基本的な文法構造が単純だからこそ、慣用的な表現がやたら多く、それらを「使いこなす」、つまり「マスターする」のはいちばん難しい言語なのだそうです。

Ya_2English is an easy language to learn, but it is the hardest to master.
(英語は簡単に学べるが、マスターするのは最も難しい)

まるでみなさんのやる気をそいでいるように聞こえるかもしれませんが、むしろその逆です!

ネイティブだって「マスターするのは難しい」というくらいですから、知らない単語や表現があって当たり前、不安になる必要は全くありません。だからこそ、楽しくきちんと理解しながら新しい表現を覚えていくのが「マスター」への何よりの近道です→たとえば、ノン・ネイティブの文豪たちにはどんな人がいるでしょうか?

前回出てきた bargain という表現、 日本語と同じくセールという意味もあるけれど、商談を成立させる、から「交渉する」という意味でも使われることをご紹介しました。

類語として、 deal があります。「取引」や「合意」を意味しますが、特にお金や商品が介在しないような場合でも使われます。

まず deal の辞書的意味を確認しましょう。deal の意味をE-DICで確認

ひとまず、 deal を使う英文を読んでみましょう。

Ya_2A: I have to run, so could you please receive the phone call
  from my customer for me?

B: Sure! But could you pick up my document from the firm
  on your way back? It'll be very helpful.
  It's just across the street from our building.

A: Deal! Let's do that!

日本語訳はこうなります。

A:すぐ出なきゃいけないんだけど、お客さんからの電話に私の
  代わりに出てもらってくれる?
B:いいよ! でも帰りに法律事務所から書類をピックアップして
  くれるとすごく助かるんだけど。このビルの向かいだから。
A:商談成立! そうしよう!
have to run =「走って出ないといけない」「飛び出さないといけない」

会話の最後の deal を「商談成立」と訳しましたが、「了解!」くらいに軽い意味合いでよく使われます。

「よしわかった!」「よしきた!」といったノリ。

dare と同じく、簡単なようでいて難しい、ちょっと厄介な英語ですね。厄介といえば……

「厄介な人(もの)」を英語で言うときも deal が出てきます。

(someone, something) hard to deal with. =「厄介な人(もの)、扱いづらい人(もの)」

なぜ「扱う」と「商談」がひとつのコトバで表されてしまうのか?

これもちょっと想像力を働かせてみると覚えやすいでしょう。

deal はもともと、 bargain と同様に「商い」に関係したコトバです。

Ya_2This store deals with cosmetics.
(この店は化粧品を扱っています、売っています)

商店が「扱っている」、「商い、取引をしている」から、 deal は「扱う」と「取引」の両方を意味するのです。口語では、

Ya_2What's the deal? 
(なにごとなの?)

のように、 deal が「何かのトラブル」をそのまま意味することもありますが、この表現は、同僚が会話しているところに参加するときに「調子はどう?」というあいさつ程度に、 What's up? と同様に使われることもあります。

ミーティングに途中から参加するようなときに「で、どういうことになってるの?」ときく形もよく耳にしますね。

また、 deal は「問題処理」にもなります。

Ya_2I'll deal with the issue. 
(その案件は私が処理しましょう)

似て非なるのが treatdeal と同様、 「取り扱う」「処理する」ですが、 deal よりも「繊細な対応」を意味することが多いと思います。たとえば、

Ya_2That issue needs to be treated with care.
(その案件は取り扱いに注意を要します)

その案件は取り扱いに注意すべき、繊細な案件なので取り扱いも細
心の注意を要する、ということになります。

この dealtreat の「扱い」の違いはどこからくるのか?

「トリートメント」というコトバを思い出してください。

treatment は痛んだ髪をいたわってくれる、 言ってみれば髪の毛への「手当て」です。 treat は病人・けが人への「治療・処置」も意味します。

商取引から派生した deal 、手当から派生した treat では、「扱い方」が変わってくるのも当然ですね。 だから、 treat の扱いは「そ~っ」と、 deal は「びしっ」と、というふうに覚えればいろいろ応用が効くでしょう。

Ya_2deal?   
(了解?)